ロマンスカーミュージアム、今回は、ロマンスカーギャラリーの後編です。

IMG_56420007

ここでは運転シミュレータの体験や、
車両搬入時の資料映像などを公開するコーナーがあります。
えびーにゃさんここにもいました。
今回は、LSE以降に登場した、バブリーな電車たちを紹介していきたいと思います。


10000形 HiSE

1987年登場、2012年引退

IMG_56900159

小田急開業60周年の節目に導入された車両で、
これまでのイメージと大きく異なる外観を採用しています。
ハイデッカー、ハイグレード、ハイレベルな車両の特徴から、
HiSE(High Super Express)と名付けられました。

伝統であった低重心高速化設計を捨てることとなりましたが、
11連接車体の展望特急という基本的なスタイルは受け継がれているわけです。

IMG_55250118

LSEで直線を意識した展望席が設置されましたが、
HiSEではさらに運転室まで直線を意識した構造になっていて、
さらに座席がひな壇のようになって眺望を確保しています。


妻面を見てみます。

IMG_55810131

車体床下から床面までの高さがはっきり出ています。
ほんとは低重心構造の車たちも観察してみたいところです。
もしかすると、開成駅前に保存されている3100形「ロンちゃん」ならわかるかも?


IMG_55830132
ここの特徴として、特徴的な連接台車の構造も観察することが可能です。
こんなふうに片側だけ外されて置かれているのも珍しいですね。

IMG_55870133

ここが車体側の中心ピンとなる、芯皿と呼ばれるパーツです。
江ノ電の連接車もこのような構造で2車体をこの1軸につなげています。
おそらくは連結相手の車両の芯皿はこの芯皿の下にあって2枚のリングが重なるようについていたのでしょう。

IMG_56000138

芯皿は台枠にしっかり固定されています。
ここだけで車体重量を地面に伝えるのですからかなり頑丈な部品と言えるでしょう。



IMG_55890001

台車の内側についているこの部品が主電動機です。
7000形と共通品のようですね。


IMG_55990137

中間台車が電動台車になっているのは小田急ならではで、色々と観察しますが、

なかなかちゃんと見るのは難しいですね。



IMG_56840012

ちなみにこちらが先頭台車です。

IMG_56590151

先頭車の床下には抵抗器がぎっしり並んでいます。
電車の速度を制御するための装置です。

IMG_56790158

HiSEは車内の大部分に入ることができます。

IMG_56820013

列車名はスーパーはこねになっています。
新宿~箱根湯本をノンストップで走る列車につけられます。

IMG_56080140

こういうプレート類も最近の電車には無くなりましたね。

それでは車内に潜入していきます!

IMG_56370006


IMG_56360005

折戸のドアエンジンが屋根に収まっているようです。

IMG_56330004

こちらがハイデッカーの車内です。
そして…


IMG_56100142

こちらが誰もが憧れる展望室。

IMG_56090141

ここにも誇らしく、ブルーリボン賞のエンブレムがあります。


IMG_56160143

車掌室は妻面の方にあります。
普段は車掌さんがいますからまじまじとは覗けませんけど

IMG_56240145

IMG_56200002


対照表も列車名だけのシンプルなものです。

IMG_56170001

連接部分の点検蓋はほかの車に比べて大きいですね。
この下には主電動機が収まっていたことが分かります。


IMG_55960136

連接車という構造上、分解整備も難しかったのかな。
何かもっと照らして確認したいですね…。


さて、きうじとHiSEの想いでもぽつぽつ語っていくとしましょう。

P1070731

HiSEも基本的には平日午前中にある上りえのしまくらいでしか撮影する機会がなく、
EXEばかりの江ノ島線ではなかなか出会えない電車でした。

P1070722

えのしま の他にホームウェイでも来ていたのかもしれませんが、
中学生の私がホームウェイを撮ることなど無く・・・。


P1070719

百合の花のシンボルマークです。


P1070715

入口は2段になっています。
幌の形状もLSEn委近いですね。

P1070716
それでもホームとの間にも大きな段差があり、
バリアフリー上の障壁になったのでしょう。



P1070733

たまに見れるとラッキーって言う存在でした。



1dd092ba.jpg
2003年ファミリー鉄道展で、事前抽選の運転台見学と車内公開を行うHiSE

小学生時代を受験で過ごしてしまったので、
こういうイベント参加の記憶が薄くてとても悔しいですね。


イメージ 3

HiSEHとLSEが混在していた頃の乗車位置目標です。



20000形 RSE
1991年登場、2012年引退

IMG_56550149

1987年の国鉄民営化を受けて、
SSEによる御殿場線直通急行だったあさぎり号のリニューアルが計画されました。
御殿場線を管轄することとなったJR東海と共同で車両開発を行い、
共通設計の車両を、JRで1本、小田急で2本製造することとなりました。


IMG_56570150

それがこの、RSE(Resort Super Express)です。
JRとの共通設計ということもあり、ロマンスカーの伝統から離れた雰囲気ではあります。
20m車7両、140mという長さは箱根湯本に入線できる11両編成の連接車、たとえばHiSEの146mとほぼ同じ長さです。GSEと同じ構成ですね。


IMG_56650153
台車を眺めます。
HiSEなどと基本的な構造は変わらないもののようです。


IMG_56660154
RSEも先頭車の床下を見学することが可能です。


IMG_56710155
これは抵抗器を冷却する強制通風機です。
HiSEの床下にずらっと並んでいた抵抗器は列車の走行によって風にさらされる自然通風式という構造なのですが、どうやら御殿場線の山道を低速走行するときに電気ブレーキの熱を放出するためにこのような装備をしているようです。



IMG_57060162
ハイデッカー形式です。足元にライトがついているのが親切設計。


IMG_57170164
ハイデッカーによる高いところから眺望を意識しています。
そしてシートは御殿場線の長時間運行を意識して居住性を高める狙いがあったようです。
落ち着いたカラーリングが平成っぽくていいですね。


IMG_57130163

前面展望席はなくなりましたが、
大きなガラスで展望が楽しめるようになっています。

IMG_57180165
1992年ブルーリボン賞受賞車です。

RSE車の特徴に、二階建てスーパーシート車があります。

IMG_57610180

これはJRのグリーン車と同等の設備で、
2階が座席、1階がコンパートメントとなっていました。デッキまでは入ることができます。

IMG_57280166

くずもの入れ 分別ステッカーが貼られたままです。


IMG_57310167
車内販売カウンターが残されています。


IMG_57340168
2階はグリーン車です。

IMG_57360169

間接照明が使われています。
ちょっと215系のグリーン車に似ていると思いませんか…?


IMG_57380170



IMG_57400171

公衆電話があったと思われる場所。
電話機は撤去されています。

電車からどこに電話をかけていたんだろう。ホテルとか…?


IMG_57460172

1階はコンパートメントになっています。


IMG_57550178

2回建車の通路は2階のみ貫通していて、
1階は原則として突き当たりになっています。
ただ、万一のことを想定して非常口が設置されているようで、
さよならイベントでは開放されたんだとか。

バラバラにされてしまいましたが、
バラバラにされてしまったが故の発見というものもまた面白いのです。


さて、すこし現役時代のRSEを振り返ってみましょう。
RSEが江ノ島線に入線する機会は夜のホームウェイしかなく、湘南マリン号などの臨時で代走されたりした時は予定があって行けず…みたいなので、個人的には全く縁のない電車でした。

そんな私ですが
ファミリー鉄道展の運転台見学に当選したことがあるのです!

P2004100215
そのときの車両がRSEでした。
ロマンスカー といえば展望車だった私にとって、縁もゆかりもないRSEに当選してしまったのは、アタリなのかハズレなのか複雑な気持ちだったのを覚えています。
HiSEの運転台、登ってみたかったんだもん……。

P2004100232

先頭車は運転台見学車の待合室になっていました。2両目以降は一般来場者が見学できます。


P2004100243

こちらがRSEの運転台です。
同行した父が撮ったものですね。

P2004100244

メーターが映ってますが、
今の私なら、運転台から見た客室を撮影しますねw

5f840412.jpg
この年のラインナップは、
RSE、NSE、そして愛称が決まったテクノインスペクターでした。


247d59b3.jpg
その後も見かけることこそあれど、乗車の機会はなく……。

 
P1140407

たまに東京にお出かけして新宿に行ったときにたまーーに見かける程度の存在。
慌ててカメラ構えて写真撮ってました。


P1140416
連結車ですが、HiSEと似た構造をしているのが分かります。

ドア上に行先表示があるのが特徴です。

P1140417

百合のエンブレムです。

P1140420

スーパーシートはJR区間ではグリーン車として扱われていたため、現役時代にはグリーンマークがありました。
商標の関係なのか、ミュージアムの展示車からは剥がされていますね。

P1140421

新宿駅に、この巨体。
2階建て電車には見慣れているつもりですが、
窓が小さいのでかなり迫力があります。


P1140423

下枠交差パンタグラフを採用しています。
畳んだ時の省スペース化がメリットにある部品ですが、

ハイデッカーゆえに屋上機器の搭載スペースが限られたのでしょうか?
先頭車にもパンタを配置するなど変わった形をしています。

P1140430


あさぎり号として発車準備をしています。
回送 からトレインマークが変わりました。


P1140435

かつてあさぎり号は御殿場線の沼津駅まで直通していました。

2012年に運転区間が短縮され、現在は御殿場までの直通になっているようです。

ちなみに、JR側が製造した車両、371系はこちら。

98839aeb.jpg

こちらは大きな窓が特徴で、
在来線版の100系新幹線のような電車でした。

371系は予備車がなく、検査や故障が発生するとRSEが代走していたようです。

イメージ 1
こちらがあさぎり号の乗車口表示です。



結局私はロマンスカーに乗る機会がないまま
HiSE引退を迎えてしまうのですが、

このHiSE、最初に引退した2本が長野電鉄に譲渡され、
特急ゆけむり号として活躍しています。

IMG_54430051


長野電鉄は各駅ローカル運用が少なく、
100円の整理券を購入して乗る特急が実質普通列車化している、ちょっと変わった私鉄です。

IMG_59420154
こんな風に長野地下駅で2編成が並ぶ姿も見ることが出来ます。
実は長電レッドなのですが、塗り分けは変わらずリスペクトを感じます。



IMG_51970028

箱根では撮れなかった紫陽花とのリベンジも出来ますのでぜひ。

RSEは現在、富士急行に譲渡されて、フジサン特急として活躍しているんだとか。
相方の371系も譲渡されているようで、いつか見に行きたいですねぇ。