5月下旬は薔薇の季節でした。
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江ノ島駅にも薔薇が並びます。
落ち着いて写真が撮れる場所が最近急速に数を減らしていて、写欲が落ちているこの頃。


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この日は江ノ電撮影をスルーして、
江の島へ。


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べんてん丸に乗ります!
この日は波も穏やかで、
良い天気!

漁師の副業として運航されているというこの航路。
天候や波の状態によって不定休となることから、
交通船ではなくあくまでも遊覧船の形態をとっているんだろうなぁと。

江の島の交通について最近調べているのですが、
1951年頃の「江の島・鎌倉名所案内」(後藤邦栄堂発行)によると
「窟を出て帰路は遊覧船を利用し海上から江の島一帯の風景を鑑賞しつゝ片瀬へ上陸するのもよく」
という記載がありまして、どうやらこの片瀬~稚児ヶ淵の航路って、
70年前からこういう運航形態をとっていたみたいなんですよね。

途中に空白期があるのかもしれませんが・・・。

さて、アルコール消毒を行ってから、乗船券を渡して船に乗り込みます。

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後ろのデッキは開放的ですが、
私は前方の客室が好き。
窓が水面スレスレで、浮いてる感じが楽しめるからです。


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ユウキリンリンゲンキハツラツ的な雰囲気ですね(アニメリアタイ勢にしか通じなさそうなやつ)


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対向のべんてん丸が通過していきます。
船が浮力で後ろにのけぞっているので、水平線が傾いて見えますね。

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船はあっという間に島の裏側、稚児が淵(ちごがふち)へ。


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空いているので、稚児が淵に1隻係留されていました。



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ぷかぷか浮いているだけの船ってのも愛嬌があっていいですね。



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この日は干潮です。


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下船します。

片瀬と稚児が淵では上下船の方法が違って面白いのです。
片瀬側の乗り場は浮桟橋なので、

乗り場は潮位によって上下し、船に対して一定な高さとなります。

しかし稚児が淵は岩場なので、
潮位によって海面が、そして船の高さが変わってしまうのです。

その対策として

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乗り場の左右に階段があり、潮位によって高い方、低い方を使い分けているのです。
面白いですよねーー!


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べんてん丸といえど色々な色の違いがあるようです。

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岩場は穏やかな潮溜まりを作っていて、魚取り親子たちの遊び場になっていました。


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ハゼのような魚が岩場の底に張り付いていますね。
ほかにもアジがいる!捕まえよう!!って言ってるような子供もいました。


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潮溜まりも一つの水族館みたいですよね。
足元には十分注意して。

そこからさっさと山を登ります。
エスカーを使えばよかったのではと?
いやぁお船に乗りたかったのと、表参道が混んでると歩きにくいよねぇって。

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やってきたのはサムエルコッキング苑。


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ここには明治期に日本で巨万の富を築いた英国の貿易商、
サムエルコッキングが建造した温室の遺構が保存されています。

コッキングは平沼に自邸を持ち、
明治維新の中で大名が手放した宝物などを貿易して富を築きました。
江島神社の所有地を買い取り、大庭園を造園するのです。

ところが銀行が倒産して無一文になってしまい、
この庭園を引き払うことになります。

そして大正時代には荒廃し、関東大震災によってすべて倒壊してしまいました。

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大正9年 林初三郎発行の江之嶋遊覧案内図。
島の中央にある緑の四角「舊植物園」(’舊’は’旧’の旧字体)が現在のコッキング苑
その上にある緑の四角「畑地」はコッキング別荘跡地で、現在の亀が丘公園。
この時点ですでに畑地となってしまっているらしい。

倒壊した庭園跡地が整備されるのは、1948年末。
藤沢市が入手し、植物園として整備1949年11月に江の島植物園として開業します。
そして1951年に江ノ電がこれを借り受け、江ノ島熱帯植物園として再オープンさせました。

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開業当時の江ノ島鎌倉観光(現・江ノ島電鉄)発行の案内図
(江ノ島鎌倉観光発行「江ノ島熱帯植物園」より)
コッキング庭園はミニ動物園になっていたようです。

パンフ地図
江の島植物園案内図(藤沢市発行)
2001年頃に行ったときに貰った地図です。
ここでは池と温室になっています。
池の形は現在のコッキング温室遺構をそのままであることが分かります。
ちびっこだった私には植物園は退屈で、あまり記憶にないのが惜しいところです。


この温室遺構には地下通路がありまして、これが期間限定で5月中に公開されていたのです。

今まであまり興味がなかったので行ってなかったのですが、
大人になって色んなオタクから土木の話とか聞くようになったら興味が湧いてきて。
いざ、行ってみることに。


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薔薇の花が見事でした。
真面目に写真撮ってなくていいのがないのが悔しい……花の見頃は本当に一種。


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こちらが地下通路の入り口です!
向こうの階段まで続く短い通路ですが、
ここから見るとカタカナの「ト」のような構造をしていて、
正面には温室があり、右手の通路の先には温室に熱を供給するボイラーと、その石炭庫につながります。


では、階段を降りてみます。
一般の方はここでトンネルを見ると思いますが、ここは逸般人のブログ。

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まずは通常温室遺構を観察しているデッキを観察してみましょう。
レンガ遺構は関東大震災以降荒廃し、長らく埋もれていましたが、
大規模なレンガ構造物として貴重なものであるため発掘・整備されました。

注目して欲しいのはデッキの台座。


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砂の上にコンクリート敷石を載せ、そこに鉄骨を固定することで、煉瓦構造物を破壊しないように工夫していることがわかります。

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こちらはロンカフェ側を見た構図。
鉄管のようなものや、なにか構造物を取り付けていたであろう窪みを見ることができます。


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ローアングルで薔薇を眺められるのもこの期間ならではです。


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薔薇の花の脇には山を盛られています。
これはコッキング時代から存在したもののようです。


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さて、それでは地下通路に入ってみましょう。


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通路の右側には大きな窓が2つあります。
そしてその奥には、石炭庫につながる通路があります。


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この窓は、なんと水槽の窓と言われています。
ここにガラスがあって、水草や熱帯魚を飼育することができたんだそう。
コッキングは温室に降ってくる雨を集めて貯める仕組みも構築するなど水のやりくりにもかなり頭を使っていたようですから、屋根から集めた水をここに注ぐ仕組みがどこかにあったのでしょう。
明治期にこのような水槽を実現しているわけですから、江ノ島近辺の水族館の歴史の中も特筆されるポイントになったりするものです。魚を見るというのは特別な遊びだったのでしょうね。

しかし別荘地にこんなものを作ってしまうコッキング。とんでもない金持ちですね。

レンガの積み方を観察してみましょう。

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壁面のレンガはフランス積みです。
フランス積みとは、煉瓦を、|=|=|=|=|と並べて積み上げる方式で、装飾性に優れています。
対して、||||||||||の段と=====の段を交互に重ねるイギリス積みという方式があります。
猿島のレンガ遺構でも見られる特徴ですが、レンガの積み方は明治中期からフランス積みからイギリス積みにシフトして行ったと言われています。


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その上に被さるアーチの天井は長手積みといって、同じ向きのレンガを並べるものです。
上からも下からも凹凸のないアーチが作れます。


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上からみた分岐部分です。
私は左から右に向かって歩いてきました。
右折して、写真手前の石炭庫に向かいましょう。


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天井には所々穴が空いています。
もともと明かり取りだったのか、あるいは戦後の整備によって破壊されたのでしょうか。

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アーチって穴空いたら強度を保てないはずなので…壊れてしまったのかな。

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奥にはボイラー室があったのですが、ここはコンクリートか何かで塞がれています。

右に穴があるので覗いてみると…


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石炭庫がありました!
レンガの赤が、石炭の煤と思わしき黒に覆われています。

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上から見るとこんな感じ。
窓は北側を向いて設置されているので、初めから開けられていたようにも伺えます。
そのほうが石炭の搬入もしやすいですし、直射日光が入らないよう工夫しているようにも見えるのです。


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もと来た通路を戻りましょう。

親子連れが「えっ!これだけ?」って言いながら通り過ぎていきました。

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右に曲がれば、出口です。


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この天窓はきっちり煉瓦の面が細工されていて割れ跡とは表面の質感が異なっているので、計画的に開けたもののように見えますね。
電気だって来なかったでしょうから…。

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戻ってきました。


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雨除けの屋根も、なるべく遺構を壊さないよう、しかし台風とかで飛ばないような工夫がされています。


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地下通路を上がった先は温室につながっています。
かつては木造の屋根があったようです。


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出口から全景を眺めます。


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真ん中の天窓の周りがレンガで補強されています。
やはり意図的に開けられたものと見て良さそうですね。

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コッキング庭園についての解説板もあります。
なかなかきちんと読むと難しい内容なのですが・・・。



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赤いバラが並びます。



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なかにはくまんばちが飛んでいます。
大きなハチですが、その体の形状によって揚力を生み出している不思議な蜂です。


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捉えようとしたのですがなかなか難しいですね。

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結局おとなしくバラを撮影していました。
5月の日差しはすっきりしていて、気分がいいですね。



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今回はシーキャンドルには登りませんが、
足元だけ見ていきましょう。


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足場を取り付けている様子です。


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ゴムで養生をしてその上に足場が載っています。


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資材搬入を行うための階段でしょうか。
足場職人ってほんとすごいですね。


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ミラーボウラーの展示はすでに片付けられていました。


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カメラを持ったアツい人たちがいた記憶が一昨日の夢の記憶のように残ります。



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灯台の周りでは明るい花が手入れされていました。


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ローアングルはなかなか水平を保つのが難しいですね。
広角だと歪んでしまいますし。


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そしてまた幾らかバラを撮影して、


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入口付近にはネモフィラの花がありました。
例年なら、ひたち海浜公園に行って遊んだりできたでしょうけど。

こういうところで見れてうれしいです。

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朝から江ノ島に登っていましたあが、
人が増えてきたので、そろそろ撤収しましょうか。


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徒歩圏のみなさん、朝9時、おすすめです。

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梅雨が来るなんてのを忘れてしまいたいキレイな夏の空です。
そしてこの日は海がとてもきれいでした。

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これは江の島弁天橋の上から撮った写真なのですが、
砂地に海藻が見えます。

よく見ると魚もいて、

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なんと小さなフグがたくさん!

この時期はフグの産卵期なので、小さいのがたくさんいたのかな・・・?
それとももともと普通にいる種類なんでしょうか。
高松城のお堀にもたくさんいた記憶があります。

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そしてこちらはボラの群れでしょうか・・・。

江の島近辺の海って砂が軽くて舞い上がりやすく、汚いイメージが強かったんですが、
海ってこんなにきれいなこともあるんですね。感動しちゃいまいた。

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片瀬へ向かうべんてん丸が浮かんでいきます・・・。
そんなに混んではいないですね。


その後はちょっとばかし江ノ電撮影。

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もう冬とは光線が違ってて、
なかなか慣れません・・・。

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海がきれいだったので行ってみたのですが、
ここに来る時間が遅すぎました・・・



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305がやってきましたよ。


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直前で前にカメラマンが来てしまい海とは失敗してしまいましたが・・・
まぁよしとしましょう。


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10はおとなしく写すことが出来ました。

そのあとは、腰越駅の神戸橋前にある、Inuzoというカフェへ。
海洋生物をイメージしたものが色々と並んでいます。

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スプーンもアザラシやクジラ。

そして・・・
シャチパフェ。

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いやぁーこれ江ノ電の観光パンフレットか何かで見て凄いあこがれてて
青い海、氷山、シャチ・・・なんかもう世界観が良すぎていいなと思ってたんです。

ベリーを食べながらクリームを食べて
下のゼリーを崩さないようにそーっと食べていきます。
シャチはクッキーで、どこから食べようか悩みましたが頭からパクっといきました(

イラストレータさんのポストカードが売られていて、
シロイルカがほっけ定食食べてる絵がとても気に入ったので1枚買うことにしました。


そのあとは電車で帰ります。

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江ノ島駅のピコリーノたちは新緑カラーですかね。



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最後に10を撮って、撤収!

江ノ電をあっちからもこっちからも満喫する1日でありました・・・。