お待ちかね!
十国峠ケーブルカーのバックヤードツアーです!

昭和なケーブルカーを大切に使っている珍しいケースですのでよく見ておこうと思います。
富士急になったら綺麗になっちゃうかもしれないし。

麓の乗り場で参加証を貰って上るのですが、
これが山頂の強風で飛ばされそうでw
一瞬失くしたかと思ったんですよ、
そしたら首元でぐるぐる巻きになっていましたw
さて、さっそく見学していきます。
風が強いということで、さっそく駅務室と書かれた扉に入るのですが、
すでにコンクリート打ちっぱなしの薄暗い部屋に入ります。
古いのはしょうがないので我慢してくださいって言われましたw。

こちらがケーブルカーの心臓部、機械室です!
箱根登山ケーブルカーと機器構成はほぼほぼ同じのようですが、
箱根登山ケーブルカーにあった等速機がなく、
電動機(1)、減速機、制動装置、電動機(2)が1軸にまとまっています。
この構造は日立製の大山ケーブルカーでも見られるようですので、共通なものなのかな……

壁の向こう側にもう一つ従動滑車があり、こちらがホームから見えています。
ホームの左に見えるのは列車位置を検知するための装置のようで、ATC地上子のように設置されています。

電動機は60kw、720rpmで、クラッチで結合されています。
2基ある電動機は毎年正副を切り替えて運用しているとのこと。
原動滑車を回転させてケーブルを巻き取るほか、
原動滑車のブレーキも通常は回生ブレーキで止めるのだそうです。

脇にある機器箱が制御装置。
小さな電子機器によってケーブルカーの制御が行われているそう。
まぁ、エレベータのシーケンス回路だと思ったら超簡単なマイコンでも動いてしまいそう。
箱根登山ケーブルでも話しましたが、やはり物理学的な安全装置が多いので電気的な制御機器の出番ってあまりないんじゃないかな・・・。

こちらは常用制動機。十国峠は電気制動で止めることが出来るので、
駐車ブレーキのような転動防止用の機器として使っているようです。
ブレーキドラムをキュッと押さえつけるような仕組みだそうで、
ちょっと磨かれてすり減っている感がありますね。

いっぽうこちらは隣に設置されている非常制動機。
解説版が貼られている部分が装置のキモで、
重りが電磁石で持ち上げられていて、
何かあると電磁石が切れて、重りの力でテコが動いてブレーキがかかるというもの。
何があっても重力はぜったいに作用する!というブレーキや継電器の概念。昭和の堅実設計を感じます。

具体的には、山麓の運転台や車両の車掌が非常停止の信号を発砲した時と、停電した時。
ということで制動装置についてまとめると、以下のようになります。
地上:常用は全電気ブレーキ+駐車ブレーキ、非常時は重力式のドラムブレーキ
車上:テオドア・ベル式制動装置

減速機をながめます。歯車比が書かれているのが面白いですね。
720rpmを12rpmまで落とします。したがって原動滑車は5秒で1回転となります。

THEODORE BELL & Co.Ltd。まもなく100年目を迎える機器です。
KRIENS-SWIZERLAND
1924
兵庫県、妙見ケーブルに導入されたものが、戦時の不要不急路線撤去で仕事を失い、
縁あって十国峠にやってきた・・・と伝わる部品。
THEODORE BELLってテオドアベルのことですよね・・・大変古く貴重な部品です。
逆に今残る妙見ケーブルの機械はどこのものを使っているんでしょうね?

こちらが原動滑車で巻いているロープの切り落とし。
太さは約23mm。とあるモノのサイズと一致するんだそうで。
答えられず、教えられてアァーーってなった。
みんなよく触るアレ。分別するとき集めたりするやつ。
そのあとはケーブルカーの仕組み解説。

これはケーブルカーの予備車輪です。
平たい溝無し車輪はだいたいレール3倍程度の幅があります。

溝付き車輪には二軸車ということもあって曲線通過なども考慮した遊びがあります。
隣の歯車は速度超過を検知する機器につくもので、
車輪は溝付き、溝無しのみならず、上下も考慮が必要で、4輪全て設置個所が決まっています。

こちらは車両に設置された非常用のレール圧着ブレーキの仕組み。
線路とわずかな隙間を作って設置されていて、
非常時にはフックが外れることでバネが働きバチーンとレールを挟む構造。
これ、落っこちるよりはマシだろうということで、かなり強い制動がかかるそうです。
追記・十国峠ケーブルカーの公式Twitterに動画が上がっていました!
楔を引いてブレーキを掛けるときに大きな音が鳴ります。
【マニアックシリーズ 足踏み栓編】
— 十国峠ケーブルカー (@jukkokupass) November 21, 2019
.
本邦初公開❗️❗️
非常ブレーキ動作の瞬間❗️❗️
音量注意🔊🚨
このブレーキはケーブルカーのロープが切れたり、速度が速くなりすぎても働きます🧵❗️
つづく⤵️
.#十国峠 #十国峠ケーブルカー #ケーブルカー #熱海 #マニアックシリーズ pic.twitter.com/2G7vNAt4LH
出番がないことを願うばかりです。

ブレーキ装置が実車に取り付けられている様子が山頂から確認できます。
このレール圧着装置があるため、線路の継目板が干渉してしまいます。
そこで十国峠ケーブルカーではすべての線路を溶接してロングレール化しています。
そのため静岡エリア最長のロングレールなんだとかw

左右で車輪形状が違うのもばっちり見れるのが、
山麓側に運転台のあるケーブルカーならではだと思います。必見です!

さて、次は運転室に向かいます!
と言っても、運転室は山麓にありますよね。
実は山頂にも運転室があり、こちらは保守用に使用するのだそう。

手動運転時代はここに運転席があり、夜間は泊まり勤務の人が居たそうです。
今は上が無人でも下で全部できちゃう。便利ですね・・・!

操作盤は割と簡素なつくりですが、画面でいろいろ確認出来たりハイテクです。
ケーブルは金属製なので、レールと同様夏と冬とで伸び縮みするため、停止位置や減速開始位置の微調整を行なっているとのことでした。
箱根登山ケーブルでは1年目は伸び縮みするもののその後は毎年伸びていくのでケーブルを短く切って対応するなんて話を聞きましたが、ここは路線延長も勾配も異なる路線の特性の違いでしょうか。大山がどうしてるか知りたいですね。

上にはなにやら碍子が。
電灯・信号 とあります。これ、架線に関連するもののようです。

ケーブルカーの架線が2本なのは、プラスマイナスではなく、
写真でいうと左側の架線が車内の照明などサービス電源、
右側の架線が発車合図などの信号の回路になっています。
分岐部で架線が交差することから無電区間があり、
それを越えられるよう内側にはパンタが2基設置されています。

車両や運転室の信号はこの継電器で振り分けられて、非常ブレーキを掛けたりできます。

正面からだとすれ違いが良く見えました。

ちなみに、
十国峠ケーブルカーのホームには2灯式信号機が設置されています。
あれは何の信号なのかと聞いたら、信号機だけれど信号ではない(=軌道回路はない)という鉄道マンらしい回答をいただきました。
運転室側の発車準備が整ったことを車両に伝えるために設置されているもので、車両側が承認して発車することとなります。
そんな感じで、見学会は終了。
伊豆箱根鉄道グッズを幾らか頂いちゃいました。
いずっぱこじゃなくなってしまうので、まもなくもらえなくなってしまうんですね・・・。
見学が終わったので少しおやつにします。

十国峠カフェ。

チーズドッグとホットココアです。

富士山を眺めながら食べられます。
ベランダは封鎖されていて出ることが出来ません。
この日の夜は別件で用事があったので、
そろそろ十国峠を後にします。



十国号とすれちがいます。
パンタの位置、意識しちゃうよね。こちらは右の電灯用が2つ、左の信号用が1つ付いています。

レストハウスまで戻ってきました。

さっきの写真の左にある自動ドアがケーブルカー乗り場に繋がっています。
バスの時間までちょっとありますが……

おっと?

おっと???
わさびソフト、バニラソフトにわさび盛り盛りって思ってたわさびソフトは一味違うというかビジュアルの豪快さがすごい。

わさび漬けとかもあるし、マイルドなアイスとわさびのコンビネーション。
自分でスプーンで練り混ぜながら食べるので、
冷たさで辛さは感じにくいけど、配分をしくじるとゲホってきます。混ざっているタイプのアイスは香りだけ残して甘味を強くしていたんだなぁと実感。
鼻に抜ける爽快感がパワフルで、わさび漬けの感覚でワサビをほどほどに混ぜましたが、やはりアイスを先に食べ切ってしまい完食できず…。しょっぱい食べ物と一緒に食べると良さそうです。醤油たらしたら?なんてコメントいただきましたw
香川県のかまたまソフトというなかなかクセの強いソフトクリームがあってみたらし団子みたいな味なんですけど、しょうゆはそこそこに脳がバグるのでワサビinはかえってキツイんじゃないかと予想。
さて、バスの時間となりました。
15:55発、終バスの1本前です。
16:37発であっさりバス終わっちゃうんで、最終の16:50発のケーブルカーでは間に合いません。
帰り気をつけないとタクシー呼ぶしかなくなります。
この日はドライブインに車が多かったですが、どうやらカーマニアたちのオフ会があったみたいですね。

帰りは新7Eです。十国峠の上は風が強く、またわさびの爽快感でプルップルに寒かったので暖かいバス車内で爆睡。

気づけば熱海駅に来ておりました。

山の中を走るバスにしては、えらく都市型な装備だと思いませんか?
どうやら西武バスから移籍してきた車だそうで、どうりで4枚折戸なんて大きなドアがついているわけです。
伊豆箱根では中ドアは締切なので、この大きなドアの出番はほぼありません…。
さて、寒いぞ……

ということで、地名の熱海というだけありますから

温泉じゃーーー!!!
2年前に友達と来た日航亭大湯です。
2つの露天風呂が男女日替わりで営業しているですが、前回と同じ方が男湯でした。
風がピューって吹くとキャーってなるので内湯に引きこもってました。
まだまだ身体が寒さに慣れてないなぁと感じます。
すっかりぽかぽかになって、
熱海の仲見世通りで温泉まんじゅうを食べます。


看板もクラシカルで素敵ですねぇ。

その後、友人と待ち合わせがあったので新幹線で横浜へ向かいました。
これから空は綺麗になります。
駒ヶ岳、十国峠とも冬は夕焼けを見る延長運転や星空鑑賞会など夜を題材にした企画が行われるそうなので、公共交通だけで行こうとすると厳しいところもありますがお出かけしてみてはいかがでしょうか。
グループで行けば、十国峠から来宮駅までタクシー割り勘とかでもいいと思いますし。
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