波浮港にやってきて、少し散策します。

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バス停からまずは少し歩いてみます。

和風家屋が並ぶ集落を通ると博物館があるようです。

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地形的にも、京都の伊根集落を思い出します。
べっこう寿司のお店は予約で満席だそうです。
行き当たりばったりも考えものですが、まぁ我々自由でいたいので。

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人家の間にチラリと見える海、すき。


少し石段を上がった先に目立つ石の壁を見つけます。

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旧港屋旅館
ここは「伊豆の踊子」の舞台になった踊子たちが活躍した旅館だそうです。
そのためここは「踊り子の里資料館」として開放されています。


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雰囲気ぶち壊しのWCという文字。水のそばは蚊が多くて大変でした。


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中に入ることができますが、なんと入館無料。
それどころか無人の博物館というなかなか変わったスタイル。


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それでいきなり蝋人形とご対面するんだから結構ビビっている見学者たち。


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全体的に木と紙の劣化を感じるゆえになんとなく不気味な印象を受けます。

風待ち港として栄えた波浮港の旅館として、階段を手前と奥に設置した構造にかつての栄華をしのばせる、ということで、旅館も3階建てのうち2階までをぐるっと回る順路になっています。
ただ基本的には廊下から客室を眺める構造で、資料室として回収されている個所などあり、旅館建築としてこの建物を観察することは困難で、やや窮屈に感じます。


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電話二番とあります。
古い旅館に行くとたまにある電話室ですね。


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中にはレトロな電話機が残っていました。

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次は踊り子の繁栄を伝えるコーナー。

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踊り子の前で大宴会が行われている様子です。

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船乗りというのはリスキーな仕事ですが当時はもうかったのだと思います。
ここには人形が分かりやすく並んでいますが、昔はもっと人が集まっていたんではないでしょうか。


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踊り子の着物と浴衣が対照的ですね。

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謎の空間がありますが便所か何かでしょうか。
階段を上ります。
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18世紀の地震でカルデラ湖が海とつながり、19世紀に幕府によって浚渫が行われ港として整備され、栄えたらしい。
下田との定期航路など華々しいことが書いてありますが、今では定期航路のない小さな港。
この年表を見ると、静かな旅館の空気がラピュタのように重くなります。
果たしてこの年表は、人の気配のない風景をどう説明するのだろう……。

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窓の外には港が見えます。
ここも船でにぎわっていたのでしょう。
ここからは大変シュールな光景が広がります。


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旅館に必ずある大広間です。


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床の間もしっかりあります。
明治時代の旅館のためか、堅実なつくりという印象を受けます。

これが大正期の伊東温泉の旅館になるとおしゃれなつくりをするわけです。


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欄間の透かし彫りは松です。


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さて、ずっと気になる子の人形。
実は廊下にボタンがありまして、

ボタンをポチると動き出すという、なかなかシュールな展示。



しかも演目はボタンを押すごとに代わるんです!




すごいですよね。
これもうオーディオアニマトロニクスじゃないですか。(え)

流石に浦安レベルとはいいがたいですが、
たぶん、横浜ドリームランドならこれくらいのものあったんじゃないですかね?



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廊下はこんな感じ。
平地が少ないとはいえかなり狭く、また窓がないのでかなり暗く感じてしまいます。
昭和になると中庭を作って採光するのが割と一般的ですが、当時はこういった仕組みもなかったのでしょうか。
それとも改修工事によって窓が失われた結果このようになったのでしょうか。
そういった資料があるともっと楽しいかなと思いました。


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奥には小さな部屋がありましたが非公開でした。

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鏡が置いてあるようですね。ほかの部屋にあったものが集められているのでしょうか。

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3階も非公開です。
らせん階段が美しいですね。

しかし非公開の3階はどのようになっているのか、
例えば図面などの資料があればもっと面白いのですが、
完全にベールに包まれてしまっています。

旅館として楽しもうとすると、ちょっと物足りない気もしますが、
入場料無料なのであまり文句を言っても居られません。

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建物の紹介です。
実物に比べて物凄くきれいな写真です。バブル期にでも直したのでしょうか。

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こちらが現在の姿。明治の建物にしてはキレイですが、やはりくたびれを感じます。

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ということで、港屋旅館を後にします。

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玄関わきには石で造った池がありました。

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こういう装飾、現代には思いつかない自由な文字の配置がユニークです。


さて、私たちは以前にも「伊豆の踊子」にまつわる場所を訪問しているのですが、
なんと肝心の「伊豆の踊子」を一度も読んだことがないのです……!
時間があるときに読もうと思っているのですが、ついつい……。


たとえば伊豆半島の河津町にはこんな伊豆の踊り子美術館という資料館があって、
まぁ楽しかったんですが、全然関係ない方向に行ったので。
ちゃんと読まないとなぁ。


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隣のなまこ壁はトイレ。景観に配慮しています。

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石段を登ると港が見下ろせます。
確かにカルデラって感じの急な崖ですね。

「ルネシティ」っていったほうが通じる人もいるかも。

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石積みが多いです。
コンクリートブロックの塀は後で作られたのでしょうが、下の石積みはいつ作られたのでしょうね?

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港屋旅館を見下ろします。
2棟から構成されていることがよく分かりますね。

石段を上がった先に石蔵がありました。


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調べるとこの石は栃木から廻船で運んできた大谷石なのだそう。わざわざ大島に……権威……!


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踊子の里 旧甚之丸邸
ここも資料館になっています。

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ほんとうに立派な蔵です!

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ここが屋敷の入り口です。
樹木が鬱蒼としています。

ここはかつての波浮港の網元の家。

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中に入るとスリッパが並び人を招き入れているような感じでした。


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建物はなまこ壁になっています。
下田の街並みを意識したデザインなのだとか。


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土間には瓦が並んでいます。


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そして無造作に置かれた黒電話。


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少し暗いのでフラッシュを焚いてみることに。

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おお!白木ですね!

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木の質感そのままですが、明治の家というだけあってガラス戸が並びます。


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棚もみんな作り付けですから職人も優秀だったのでしょう。

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踊り子を呼んで客をもてなしたこともあるらしい。そんな有力者の広い家です。


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電球の下に下がっているのは何でしょう?
ガスの栓?

風呂場とトイレが残っていましたが真っ暗でした。
しかしよくみると昔の染付古便器ではありませんか!実物を見る機会はほとんどないのでびっくりしました。

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大小が分かれている昔のスタイル。

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小なんかほんとに見事ですね。

2階は養蚕のためのスペースになっていたとのこと。
漁業に養蚕と富は富を産みますね。



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上にのぼるとこんな感じ。
階段が妙に頼りなくて上に登りきる勇気がありませんでした。

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奥も暗いですが広い屋根裏になっています。


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2階の窓から眺める、南国感が漂う窓の外の景色です。


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さて、そんな感じで見学を済ませます。
近くにたい焼き屋があるというので寄ることに。


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東京梵天というお店。
古民家リノベーションだそうです。
土間は小さな石を詰めて石庭のようになっていてめちゃくちゃおしゃれでした。
民宿としても使われているそう。面白そうですね……!

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側面の出窓が印象的でした。


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つめたいたい焼きは酸味と甘味のあるもちもちなスイーツです。


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友達はかき氷を食べて、しっかりアイスクリームシンドロームになっていましたw

さぁ、坂を下って港に戻ります。


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映画のポスターにでも使えそうないい坂道です。それこそモデルとか連れてポートレートとか……。

青い海と空、緑の山!


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本当にいい天気でした。



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黄色いバスがやってきましたね。
あれが帰りのバスでした。


次は一時間後です……。

どうやって過ごそう…。