11月中旬のこと。
きうじは仕事明けに横浜へ突っ走っていました。

大さん橋には大型客船「ぱしふぃっく びいなす」の姿がありました。

2023年1月のクルーズをもって事業終了することになっていたため、
最後から数えてもあと数回という横浜寄港を目撃することができました。
思えば2013年にふじ丸の引退記事を書いていましたが、
インターネットの発達によって船の引退もある程度事前に察知できるようになりました。
本当に便利な世の中になったものです。

ファンネルの前にある展望室。
あの上の景色を眺めてみたかったな……。

どうやら船内は清掃をしている様子。
11月13~14日、「秋の神戸・横浜ワンナイトクルーズ」で神戸からやってきて、清掃を行っていた様子。

船内に様子もよく見えます。
窓の大きなな船ですね。

遠くにはポートサービスのマリーンルージュの姿が見えます。
クリスマスシーズンが近いこともあって、めちゃくちゃ派手です。
と、ここまでいろんな船をならべておいて、
今回乗船するのはこちら。

ロイヤルウィングです。
東海汽船でお船の魅力にどっぷりはまったお友達が、
コロってヒッキー続きだったもので、快気祝いにぱーっとやりますかと。全国旅行支援で安いうちに乗っておこうという算段です。
後で知ったのですが、世の人たちはレストランクルーズに1人で乗ることに対して「気が引ける」と言っているらしい。そんなことあるもんなんや……。
なお、マリーンルージュも同様のプランをやっているので、ぜひ乗りに行きたいところ。
なかなか休みが空かないぜ……。

大さん橋にはロイヤルウィングの模型があります。
ここで、ロイヤルウィングの出自について少し説明する必要があります。
この船は、1960年に完成した関西汽船の客船「くれない丸」という船でした。
兵庫県神戸〜大分県別府まで瀬戸内海を抜ける別府航路は、日露戦争後の観光旅行を見込んで1912年に大阪商船によって開設された歴史ある航路で、現在でも後身のフェリーさんふらわあが運航されています。
くれない丸は、夜行便しかなかった別府航路に、瀬戸内海の景色を楽しめる昼行便を運航するために生まれた、神戸〜別府を日中のうちに走り切ることのできる高速船です。当時としては高速な19.6ノットという速力と、1等個室や娯楽室の充実した豪華な内装で新婚旅行など好まれ、「瀬戸内海の女王」などと呼ばれたそうです。
しかし、大阪万博に続くモータリゼーションの発達によって交通が鉄道対客船の構図から自動車中心の社会になると、別府航路カーフェリーへの転換を迫られ、またくれない丸の自慢の俊足も時代遅れとなって活躍の場を失っていきます。
そして1988年にレストランシップへ改造され、ロイヤルウィングと名を改めて横浜にやってきました。運航会社は藤木企業(横浜港の荷役作業などを行う企業。ポートサービスの親会社)が設立したニッポン・シーラインという会社だったようで、1989年に開催された横浜博覧会を見越したものだったのでしょうか。
その後、吉本興業、モック、サンリオなど様々な企業に買収され、現在は藤木企業が主要株主となっていて、35年間横浜港を巡回しているのです。
そんな歴史ある船で、現在運行している客船の中ではトップクラスに古い船。船体を見るとどこかクラシカルなスタイルをしています。

内装を見るとちゃんとロイヤルウィングとして作られています。

乗船口の前に待機列が作られるので、並んで待ちます。
この日は観光バスで団体さんが来るなど、平日ながら人が多いなと思いました。

乗船が始まり、スロープを降りていきます。

大さん橋の下に降りることも、さるびあ丸とロイヤルウィングくらいしか機会がないのでワクワクしますね。

ちょっとクラシカルです。
運送契約という表記からして、船名だけ塗り替えたくれない丸のものだったりしませんか?

入口ではピアノ生演奏でおもてなし。
豪華客船でもある演出で、マジで俺らこんなにもてなされていいのか?と思いながら階段を上ります。

これが船のデッキプランです。

我々が向かう客室はラベンダー。
かつては船体後部にあった娯楽室だったらしい。

大さん橋を離れます。衝動はなく、よく観察していないと気づかないほどです。

ウェルカムドリンクというらしい。
ベリーのジュースでした。

船は後進して大桟橋と距離を取ってから向きを変えるのですが、それも気づきにくい…優秀な客船の匂いを感じましょう。

テーブルにはメニューとナプキンが並びます。

箸もお手拭きも全部オリジナルです!
箸入れとか、コレクションしたくなるやつです。

ディナーテーブルには飾りナプキン。
帆船のようにも見えます。

お手拭きの裏は船でした。あー持って帰ればよかった。はしたないからやめたけど(ぇ?)

まずは前菜の盛り合わせ。
今回は神奈川ブランドのコース料理ということで地元農産物をたくさん使っています。

そして船は港内(狭義)をぐるっと回ります。
向こうに見えているのは瑞穂埠頭のようです。
ここでバルーンアートのサービスが。
いぬ、くま、きりん……あとなんか色々あったんですが、何か一つ作ってくれると。
まず、犬を選ぶのはど定番すぎる。せっかくオーダーできるんだからちょっと珍しいのにしようぜってのは頭の中にありました。
ということで、きうじの頭の中では、キリンが一番面白いのではないかという結論に至りました。
でもまぁ何から何まで自分で決めるのは面白くないので、友人に任せたところ「キリンで!」と。
ほう……わかっとるなぁコイツぁ……となるわけです。


つづいて、湘南ちがさき牛とじゃがいものカレースープ。
ゆっくり時間が流れていくのでいいですね。

船は方向を変え、みなとみらいからベイブリッジの港外方面へ舵を切ったようです。

大さん橋に停泊するぱしふぃっくびいなすが見えます。

大海老と白烏賊 湘南野菜の塩味炒め
イカすきなんですよー食感がコリコリしてるじゃないですか。これたくさん切ってありますが舌触りが面白いです。

ベイブリッジをくぐります。
誕生日の家族がいたようで、ケーキが出てきてお祝いしていました。
ケーキはオプション料金で発注することができます。オタクオフ会で誰かを祝ったりできます。
なんと、ピアニストがやってきて「Happy birthday to you」を生演奏、客室も手拍子するという展開になっておりました。

やまゆりポークとさつま芋の黒酢酢豚
とてもお上品な肉料理です。

先ほど誕生日を祝ってくれたピアニストの方がピアノの生演奏をしてくれました。
「Over the rainbow」とか演奏してました。
キリンさんとキリンさんを撮ろうとしましたがうまくいかないもんですね。

湘南しらすと大葉の炒飯
ごはん!ごはんは地球課題を解決する!
重量オーバーでヘリコプターに乗れない男われら、大満足。

大黒埠頭が見えています。
少し外に出てみましょう。
ラベンダーは専用のデッキがあります。

出てみましょう。
ベイブリッジをくぐって港内に戻ってきたところでした。

かつての娯楽室。瀬戸内海の景色を映したのでしょう。

大黒大橋の奥に鶴見つばさ橋が見えます。

デザートはシャインマスカットのパフェでした!

船は向きを変え、こちらにみなとみらい地区が見えてきました。

外を眺めます。浮き輪がいいよねぇ!

きりんさんも一緒に。

クラシカルな上の階のデッキに、現代的なコスモクロック21。

後部にはベンチが並びます。
風さえ寒くなければここにどっかり座るのも悪くないかなと思います。

Big Love......

ファンネルにRの文字。
結露しているのか、リベットが浮き上がったいます。

輝かしい横浜夜景。
実は毎年クリスマスシーズンには全館点灯というイベントがあります。
この船から眺めることは叶わないのですね……。

ロイヤルウィングらしさをちゃんと押さえないとね、という感じで。

さらば、ぱしふぃっくびいなす

右舷にはでっかいサンタさん。

左舷のリベットがぼうっと照らされます。美しい……。

日本丸が見えます。

豪華客船と山下公園。
このあたりは落ち着いていて上品な灯り。

おとなりかんがお通りです。

びいなす…ランチクルーズにも来たかったかも。

真正面に来ました。

横浜税関とともに。

クイーンズの上から煙が出ていますが、暖房に使う熱を集中的に供給しているんですよね。

氷川丸も輝いています。
右はホテルニューグランド。ナポリタンやプリンアラモードで有名。泊まりたい……。

大さん橋Aバースが近づいてきました。

このディテールを愛でていられるのもあと少し。

ランドマークと。

ベイブリッジに特徴的な船尾。

マリンタワーもリニューアルでかなりキラキラした建物になりました。

下船の準備をします。

生演奏をしてくれたピアノです。

通路脇の客室ですが、すりガラスの壁がスリットのようになっています。

通行人にはあまり中の様子が見えないようなプライバシー重視なデザインです。

グッズが陳列されています。

売店でいろいろグッズを売っています。
全国旅行支援でクーポンをもらっていたのでグッズを買いました。

レジにはメッセージが書いてあります。

船の絵が可愛いですね。

ちなみにこんな形のチョコクランチがありまして、オタクはみんな買いましょうね。

浮き輪のモニュメント。

サインとか。

下船!ありがとうございました!

記念写真撮ってもらったりしました。
結構干潮というか、浅いですね。

ということで、スロープを上ります。

ベスポジです。

運行を終えて、ブリッジもあかるいです。

前の方の客室はどうなっているんでしょうね。

上からアングルです。

ルージュも入港してきました。
ド派手に輝いています。

赤レンガ倉庫を囲むビルたち。
ぱしふぃっくびいなすを再び観察します。

ソファが並ぶ部屋。

ホワイトバランスを変えて遊びます。

青い光の絨毯です。

この先もどうかお元気で、と。

横浜でこの船を眺めるのは、というかきっとこれが最後だと。本当に最後でしたね。

帰ってもいいんですが、もう少しあれこれみたいなぁと思いまして。

ではでは食べたら散歩でもしましょうかと。

ジュピター、パイロット船ですね。

ポートサービスの本業です。

象の鼻パークでぽつんと存在感を放つ象の像。

きらきらと輝くぱしふぃっくびいなすです。

下弦の月が登ってきたところでした。

アップで狙います。手ブレが厳しいです。

少し位置を変えて。

なんだかんだで赤レンガ倉庫まで歩いてきました。

つばさ橋が輝きます。

赤レンガ倉庫は工事中でしたが明るくて技はしてました。

見事な船体……明かりのバリエーション……
やはり客船というのは気にするポイントですね。

ちょっとおしゃれに。
水面が穏やかなのが本当に良かった。

赤レンガ倉庫の鉄骨もまた人がいなくて美しく整列しています。


なんかちょっと得した気分です。

臨港パークまで歩いて、桜木町から帰ります。

ポートサービスが撤退して定期船が来なくなったぷかり桟橋です。

横浜エアキャビン、一応索道なので駅長がいるのかと驚いてしまいました。

きりんさんを連れて帰宅。
もうね、素晴らしい旅でした。
この記事の執筆中に、ロイヤルウイングは運航休止が決定したとのこと。
機関室ツアーにも参加するので最後の春を楽しみたいと思います。
全国旅行支援プランはまだやっていると思うので、公式サイトを見てみてくださいな。
乗船だけってこともできるんですけど、やはりレストラン船なので一度本物のおもてなしを体験しておくこともオススメですよ。
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