夏に書きかけでほったらかしていた記事を掘り起こしておきます。時系列もだいぶ乱れてしまったけども…まぁ来年の参考にしてくださいということで。

7月も終わりのこと。
友達に東京湾納涼船に乗りたいと言われたので申し込んで乗ることにしました。

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夏の東海汽船では、大島航路が夕方着岸し、
19時15分から2時間ほどかけて東京湾を周遊するクルーズを運行しています。
そして冬になると納涼船がない代わりに、横浜港へ立ち寄って夜景クルーズとなるのです。

ということで竹芝桟橋へ。
夏なのでまだまだ明るいですね。


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大島からの最終便、セブンアイランド友が着岸。
日没前に芝浦の基地へと帰ります。


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向こうに見える、日の出埠頭に近づく船はなんでしょうね、
ジールクルーズのセレブリティ2とかですかね?


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こちらが本日乗船する、さるびあ丸。
6月末に機関トラブルが発生。エコシップとして採用されたアジマス推進機が故障してしまいました。騙し騙し使っていたようですがついに8月には完全停止。速力が出せないようで、東京〜大島を往復して、以南の利島、新島、式根島、神津島にはジェット船と貨物船で代行するという混乱のなかで運行される納涼船となりました。


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コンテナがトラックに積み込まれて旅立っていきます。

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今回限定のクリア御船印も購入。
長蛇の列で、浴衣のお姉さん集団の多いこと……貸出サービスをやっているらしくて、気合い入りまくり。この時期の竹芝界隈は華やかです。


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納涼船乗り場です。ゆるゆると進んでいきます。
東京湾内であれば詰め込みが効くのか、普段大島に行く時とは比べ物にならない行列です。


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看板も光って待ち構えています。
ゲーミングに光るパリピな仕様。
まぁこんな感じなので、竹芝界隈のオフィスで働く労働者たちたちからはパリピ船とかナンパ船とか縁起の悪い名前で言われてたりもするらしい。


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ボーディングブリッジを渡りまーす。



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こちらがステージ。
飲食物カウンターに並んでいるうちに船は動き始めます。

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芝浦埠頭に残る戦前の倉庫もライトアップされギザギザ模様が目立ちます。


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レインボーブリッジを潜ります。
ステージ脇にDJブースがあり、ラジオアナウンサーなどが乗務しているので、ビュースポットについて案内してくれます。
ここは歓声が上がりますしみんなスマホを向けています。

さて、納涼船というのは洋上の風の強いところを進むので、空気が通り抜けて心地よいのはその通りなのですが、外の景色はどうでしょう?
実は、今回は納涼船での過ごし方を観察するために乗船しているのですが、あまり気にされていないということがわかりました。みんな酒を買って会話に花を咲かせていまして。船を目当てに乗っているのがここまで浮くというのは想定外……文化祭の企画サボってる男子みたいでした。


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音楽が流れるステージ前では提灯がぼんやりと色を変えながら光ります。


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東京港客船ターミナルです。


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そして羽田空港への着陸機。


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オタクなのでこういうものをバンバン撮っていますが、浴衣の女の子たちは自撮りしているし、おっさんたちはゲラゲラ笑って盛り上がっております。

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私も色々食べていきますよ。
島寿司は辛味のある寿司、そして島唐辛子を使った唐揚げなど、食欲をそそるものがたくさんあります。

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名前を忘れてしまったけどピザみたいなやつ。

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島寿司をいただきまーす。



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第一陣を食べたら結を連れてふらふらします。



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そして串ステーキを食べます!
脂がぎっしりで美味しいですね!!



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さるびあ丸とともに。



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椅子席が空いてたので座らせてみました。


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2等の座席にはこのようにマットを敷いていて、酒をこぼしても今夜の離島便には影響を与えないシステムです。



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ほら、こうしてみると雰囲気の違いが伝わりやすいですかね?


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あまりまじまじと見ることのない水密扉です。


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夜景は遠く。


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しかしステージは絶好調。
インストだろうと、観客が歌って踊って勝手に盛り上がっているのです。酒の力ってすげー。


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品川のコンテナ埠頭です。

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そしてフェリーターミナル。



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もうレインボーブリッジに向かって戻ってきています。

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端を潜る瞬間はカメラがまた集まってきます。


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フォトスポットとともに。


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さらに東京タワーがチラリと見えます。
ビルが増えた今、333mのタワーがくっきりみえる場所は限られるようになってきていて、レアスポットのような扱われることが多いようです。


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残りわずかでもどんどん酒を飲んでいく人たち。
ステージではライブイベントをやっているわけではありません、インスト音源に合わせて参加者が勝手に歌い、踊っているのです。
浴衣の女の子達はそんなおっさん達にビビりながらも楽しんでる様子。恐ろしいところに来てしまった……。


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隅田川に架かる豊橋大橋が見えると、航路の終わりを実感しますね。。


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回頭中。

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名残惜しいですが下船のお時間。
なんと乗船客同士で記念撮影タイム。
同じ釜の飯というか同じサーバーの酒を飲んで叫びまくったみんなと名残を惜しむかのような時間……一期一会を大切にする心です。

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こんどは大島行きの定期船となるため、離島への生活物資となる、貨物コンテナの搬入準備が始まります。


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隣には三宅島、御蔵島、八丈島へ向かう、貨客船橘丸。

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コンテナぽいぽいと呼ばれる積載シーンです。
ここら辺の動画、タイムラプスとかで見たいけど、岸壁では撮影が難しいというのがネック。

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ターミナルへ戻ると、外に大島に行く人が多く並んでいました。
※推進器トラブルで大島以南には行っていなかった頃です。
夏の週末、大島は日帰りもできる観光の島。ハイキングやレジャーなど楽しいことがたくさんあることでしょう。
南の島の方から聞くところには「大島って自分たちの中では都会だなって感覚なんですよ〜」なんてお話も聞きましたが、本当に大きな島です。

さて、納涼船に乗ってみようと思ったのにはもう一つ理由があります。


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"江の島納涼船"
手元にこんなチケットがあります。
ガラスコップが時代ですね。

1965年(昭和40年)に江の島〜大島航路が就航、その翌年に発行されたと思わしき招待券です。
就航当初は毎日1往復、19時に江の島湘南港に戻ってくるダイヤとなっていました。日の長い夏の夕方、30分で準備をして、20:40まで100分のクルーズを行うというものです。

しかし招待券なので当時の乗船料などに関しては何もわかりません。
近所の鉄道会社関係の資料の中に束で入っていたので、おそらく平日暇だったのか地元に配りまくったのでしょうね。

前にもブログで書いたか忘れましたが、この航路は新宿から伊豆大島まだ、竹芝経由より早く往復するために作られた航路だったので、船を降りたらすぐロマンスカーに乗るのが想定コースでした。また、団体旅行が主流であった昭和の江の島観光の拠点は片瀬や鎌倉ではなく、旅館街がひしめく熱海にありました。しかし熱海や伊東からはすでに東海汽船の定期航路があるので拾えないわけです。そうすると船上で宴会するって夏休みでもなかなか難しいですよね。

そもそも一番の課題はですよ、
「夜の江の島を船で回っても何も見えないのではないか」なんですよ。江の島のイルミネーションが活発化するのはそれこそ平成に入ってからと言われていて、昭和の江の島は今のようなキラキラな島ではなかったとききます。真っ暗なところで楽しいのか? 気になっていたのです。

でもわかりました。納涼船の乗船客はそもそも船窓の煌めきなど気にしていないのだと。酒を飲んでどんちゃん騒ぎしてパッと別れる、これが納涼船の遊び方なのだと……。
だから招待券のチケットも船の写真が掲載されていて、夜景らしきものはいっさい写っていないのでしょう。
現代の夏祭りのような、不思議な文化は、コロナ禍を乗り越えて今も東京湾の上に浮かんでいるのでした。