大多喜駅から歩いていきます。
郵便ポストと電話ボックスですがバリアフリー仕様で、しっかりお金をかけて作っているように見えます。かなり建築というか都市景観に力を入れている街なんでしょうか。
本日のお宿、大屋旅館さんです。
明治時代初期に改築されたという旅館で、
江戸時代には街道の旅人が宿泊する「旅籠」と呼ばれていた建物だったようです。
大多喜には城があるとおり、大多喜藩という藩の中心地で、かつては本多忠勝が、そして幕末には松平氏が居城としていました。
通されたお部屋は本館の和室。
ポットがいいですよね。
エアコンもついているのでこの暑さでも安心。
母屋は明治の建物ですが、裏手にあるこの部分は大正期に増築されたとか言われています。
お風呂か御飯か選んで、ごはん!
ということでやってきました!
プランがいくつかあって、せっかくだからと一番高いのにしました。
ごはん、肉、魚、野菜、果物までついて、しっかり食べれます!
テレビで紹介されていたキクラゲもありました。
水分補給にスイカはとてもしみました。食べる水分補給です。
お箸もオリジナルの物でした。
少し館内を探検しながらお風呂へ向かいます。
外には広縁のような空間がありますが、この建物は旅籠の建築なので廊下ではなく縁側を歩く構成になっていました。
お風呂の入り口。すごい!
いやーー格子になっててその下の流しが見えないようになってる。初めて見ました。
そしてこのタイルの模様!おしゃれです。
水 湯 というサインもユニークですね。
お風呂の照明は近代建築みたいなテイストです。
しかしお風呂は自動給湯のピッてやるやつが温度管理していて快適。
建物はレトロながらも、リノベとは言わないまでも直すところはきちんと直して、建物として活かしているところが魅力的。
このあと、テレビで大多喜を紹介するんですよと言われて、テレビで見ることに。
BSの映る部屋が限られているそうで、別の部屋に通されました。
大吾と又吉が旅行する番組でしたが、なんとここに宿泊したんだそうで、建物の紹介も見ることができました!タイムリーに勉強になりました…。
そして扉のガラスにオオーーとなる。
こういうガラスは珍しいと思えとよく言われるやつです。
光の反射で模様が浮き上がります。
ひとまわり大きいu306系の便器に衛生水洗の手洗い。そして風呂場とは異なる柄のタイルが並びます。
さて、外はもう真っ暗なので寝ますか…と思ったら、コミケに向けてなにやらヒーヒー言ってるTLを見て、Twitterのスペースを聞きながら寝落ちする夜。ハイテクでございました。
朝です。襖にガラスが仕込まれていて綺麗でした。
ガラリと開けてみます。
広縁がある…ように見えますが、
これは広縁ではなく縁側、つまり廊下の一部なのです。
広縁は旅館において「あの空間」として知られていますが、あれはもともとこんなふうに縁側だった空間なんです。
戦後、外国人が多く来るようになり、「国際観光ホテル整備法」によって間取りを変えた旅館では、デッドスペースとなった縁側を区切って広縁にしたとされているのです。
朝ごはんです。ごはんいっぱい。いかにも日本人の朝食というか、オクラ納豆とかもあって健康的なメニューです。
大多喜はチーバくんの腰のあたり。大原という漁港が近いので海の幸も手に入りやすいようです。
夜はよく見えなかった欄間の意匠です。波の絵でしょうか。
ご飯を食べたら少し館内を散策。
池がある庭です!
池にはモニュメントが…
丹頂じゃないですか! 立派!!
風が通る涼しい廊下には庭を眺められるソファがあります。この先も大正期に建てられた離れのようです。
少し歩くと、エビスビールとリボンシトロンの鏡。
大広間ですね。
立派な空間です!
そしてこちらは…
便所とあります。
ちょっと失礼……
おおっと!? これは……
u307系の下に置いてあるスリッパ状のものが気になりますね。これは厠下駄というものです。
このスリッパの目的は「ここに足を置いて用を足す」ことを示すことで、狙いを外しにくくする効果がを期待しているそうですが、試しに履いてみると思ったより大股な姿勢になるので、果たしてこれで綺麗に使えるものなのか?とは気になりました。
スリッパ状の形をしているのは、飛び跳ねから足を守る目的で、これは今の便所スリッパと変わりありません。
今では博物館でしかお目にかかれない珍しいものです。
板が付いていてプライバシーもバッチリ。
とすると、昔は朝顔でも置いてあったんでしょうかね?
お風呂場にあった十円式のマッサージチェア。
たまたま十円が手元になくて……。
そろそろチェックアウトのお時間。
いい色の空です。
2階から参道を眺めてみます。
庭園もかなり広いですね。
葉っぱが描かれた窓ガラスが綺麗です。
先日のテレビで大吾と又吉が宿泊したのは主屋の2階、明治期からあるという部屋です。
見学させてもらいました!
広い部屋で、床の間も大きいですね。
隣にも部屋があります。
女将さんに木の雨戸を開けてもらいました。
街道を見下ろすことができます。
視界が開けていて、風がふわっと通り抜けて心地よいです。
帳場の前には、クラシックホテルではお馴染みの電話室があります。
クラシカルな電話機が置かれていましたが、この建物の歴史を考えればなかなか後発なもの。先進的なものを競って取り付けた時代もあったのでしょうか。
今回、2食つきで夕飯のおかずを多めにしたプランで、11000円だったかな。
なんと、支払いはクレジットカード対応。
予約の際に電話でも聞いた気がしましたが、やっぱりこの佇まいでクレカが使えるというのは心がザワザワするといいますか。特に驚くのはビジュアルで、旅籠の頃から使われていたであろう帳場の中からクレジットカード決済端末がスッと現れるんですよ(今思えばSquareターミナルだったかな?)。そこに暗証番号を入れて……という老舗ならではの時代のギャップも面白いと感じました。
お腹も心も満たされる非日常体験がありました。
たった一晩でしたが、濃密で大満足でした。
予約は電話かメールなので、電話してみるといいと思います。
私はチャットやメールに慣れてしまっていて、電話を日頃使わないので、
慣れない電話にビクビクしながら勇気を出して電話したところもあったのですが、
宿泊して、あの時勇気を出して電話して良かった……と心から思ったのでした。
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