式根島の午後はハイキングをして過ごします。
民宿から車で送ってもらい、神引展望台へ。

結局、ハイキングツアーに参加するのは10人でした。

式根島観光協会の方がガイドをしてくれるので、
天候は悪いですが、初めての島はガイドと行くのが絶対いいと思っていたので参加した感じです。

なお、通常は式根島観光協会はこのようなガイドツアーをやっていなくて、東海汽船のツアーの時に特別に対応しているということなので、ご注意ください。


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富士箱根伊豆国立公園 式根島
という記念撮影スポットです。

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神引展望台の解説看板です。
色がすごい変わっていますね。

何年か前に千葉で猛威を振るった台風(たぶん2019年の台風19号と推定)のとき、式根島近海で発達した台風によってこの板が飛ばされて石の台座だけになってしまったらしいです。

ところが後日、ガイドさんが海でこの板を発見、元のところに戻ったというエピソード付き。


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カンビキ湾とよばれる、ウミガメがよく来るスポットだとか。


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遠くに見えるのは、手前が新島村の無人島、地内島、右に見切れているのが新島です。
新島と地内島の間に霞んでいるのが鵜渡根島、画面中央で霞んでいる大きな三角が利島です。

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周りに見えるのが、式根島で最も標高が高い場所。それでも標高104メートルとからしいので、羽田空港の管制塔より低いくらいです。

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西側を向きます。
今回は向こうに見える山の裏手にある、唐人津城という砂漠のような場所に向かうはずだったんですが、天候不良のため行けるか怪しいとのこと。
でも、せっかく来たんだから行けるところまで行きたいということで、残った10人とガイドさんで向かうことにしました。

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と思ったら、ジェット船が!

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セブンアイランド大漁です。

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水墨画のようで綺麗ですね(しろめ)
ここで晴れカット欲しいです!!
愛とか愛とか愛とか


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ゴツゴツした岩が多いですが、このカンビキ湾は水蒸気爆発によってできた噴火湾と言われているそう。
そもそも式根島はたった1度の噴火が10年間続いてできた1回分の溶岩でできた島なんだそうで……

とまぁ、ガイドさん喋る喋る。
軽快なトークに無数の引き出し。
「まだいけます?もう無理ってなったら言ってくださいね?」
「11時間喋り続けたこともあるんで」
と、ものすごいトーク力に舌を巻きます。


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この島を構成している石は、抗火石と書いてこうがいし/こうがせき、と読む軽石の一種だそうで、新島、式根島、神津島にしかない成分の石なんだとか。

コンクリートが開発される前は建設資材として全国に流通したんだそう。

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かつてはここも採掘場として栄えたそうですが、品質が悪くて現在では新島の向山というところでだけ算出されているとのこと。

前回のブログで、砂浜の砂が透き通って石英っぽいという話をしました。
これが抗火石の特徴で、抗火石を高温で熱するとガラスになるのです!
それが新島ガラスと呼ばれる工芸品になっているんですね。

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こちらは東側を見た図。
奥に見えるのは新島の無人島、早島です。

その手前にあるのは、新島村役場式根島支所の鉄塔だそうです。
あのあたりが島の集落の中心部らしいのですが、どこも鬱蒼としていて何も見えません。
これは島に強い潮風が吹き付けるため、防風林よりも高い建物を建てると、あっという間に錆びてダメになってしまうらしいです。
ごみ焼却場を海沿いに建てたら外壁が全部壊れてしまったこともあるらしいのです。島の建築って大変なんですね…そういえば離島のお宅で石垣をよく見るのもそういう理由なんですかね。


ここまで見てわかる通り、新島と式根島は近くにあって、式根島は新島村の一部となっています。その理由はいろいろあってガイドさんも説明してくれたのですが、温泉や漁場といった資源が豊富で、新島村は税金を払ってきた。東京府が式根島を独立させようとしたときに「新島と式根島はもともとつながっていた」という主張をして新島は式根島を領地とし続けたようなのです。

いっぱうで現在では新島村の一部であることで恩恵もあります。
抗火石は水捌けがよく、島全体がこれで構成された式根島には、河川や池がなく、飲み水がありません。そして発電所も、ごみ焼却場もありません。
なので新島から海底経由で水道、電気を送り、ゴミは新島で処分しているそう。


それでは、ハイキング出発です!

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トベラの木。根が深くて風に強い島の木で、
1月にある島の行事で悪霊から家を守るために使われる木なんだとか。


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唐人津城はここから片道25〜30分くらいの道のりのようですね。


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やはりガイドがいるというのはありがたい…!
藪の中を歩くにしても、1人で歩くのとはぜんぜん違います。滑る場所や倒木のある場所などで注意喚起してくださったおかげで無事に歩くことができました。


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鬱蒼とした森に、さらに湿気も相まってなかなか1人で歩くのは不安になりそうな気もします。


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時折ふっと明るくなると綺麗なので、晴れていれば木漏れ日の散歩道みたいになるのでしょうね。


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やってきました!こちらが唐人津城です。
津城というのはここの方言で、人が集まるとか漁場が豊富とかオアシスみたいな意味があるらしいです。


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周りに生えている小さな樹木はオオシマツツジというそうで、GWの時期に咲くそうです。


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V字の谷にはかつて岩があって、魚の痕跡があるなど水が溜まっていたのではないかとか言われているそうですが、調査がされていないそうで詳しいことはわからないそうです。

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抗火石の広い砂漠ですが、この石、砕けた石ころを踏んづけると滑るらしいので、この先には行かないこととなりました。


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地面に生えていた草。

男はつらいよ、36話のロケが式根島だったそうで、渥美清さんがここを訪れているそうです。


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唐人津城の前の原っぱは、島外からきた人が持ち込んでしまったのか、ここだけは外来植物が多く茂っている空間なのだそう。

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道の脇に穴が空いていることがあります。
樹木を持ち出したり、水を貯めようとした形跡とか言われてるそうです。


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御釜湾第一展望台にやってきました。
都内ですからね、展望台もおしゃれ。

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こちらにあるのが御釜湾。
この下に海底温泉というウミガメとダイバーしか行けない温泉があるのですが、樹木が茂ってしまい展望台からは見えないらしい。
80度の温泉は100%二酸化炭素が噴き出していて、酸性化した海では貝も白化してしまい、強い魚やウミガメしか生きられない空間になっています。

将来、世界中の海が酸性化してしまうことに備えた研究がされているそう。
特に二酸化炭素のほかに有毒ガスが湧出せず、東京から船で来れる式根島は研究に便利なのだとか。

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半島を見ると、大きな洞穴があります。
かつてここにニホンアシカの親子が住んでいて、そのアシカが傷を負ったときにがよくいる海が温泉であることが判明。アシカ温泉が訛って足付温泉と呼ばれるようになった、なんて逸話があるそうです。
ニホンアシカは乱獲によって明治時代に絶滅してしまった生き物です。

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狭い小道を歩いていきます。

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予想に反して、雨が落ち着いてきました。

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草木を見ながら歩きます。

イヌマキの木という木の話を聞いたんだけど、どれだったかな、アスナロの木と呼ばれていて、ひょろっとした樹木なんですが巨大に成長した御神木がお寺にあるんだとか。実物は見に行けなかったのでまたの機会にですね。

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岩が敷かれている道が滑るんで要注意でした。


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広い道に出てきました。
奥に伸びるのは都道なのですが街灯がありません。
さらにガードレールも白ではなくグレーなのだと。

実はここはミミズクと雉が住むエリアで、島民が反対して都に掛け合って街頭のない道路を実現したとのこと。


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ここに終点とあります。


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次に向かうのが野鳥の小道です。
水場もなければ果樹も育たない式根島。神津島のように野鳥を誘致したいと願って整備した小道だそうです。

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臼の上に水を入れていますが、止まり木は風で吹っ飛んでしまい、鳥は来ないけど蜘蛛はたくさんいました。多様な生き物が居ますね。でも藪蚊はゆるしません。


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温泉郷の看板が出てきました。
こういうものも加工のしやすい抗火石で出来ているようですね。


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なにやらヒシタンクが見えました。

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秘湯・地鉈温泉です。
温泉番付で2番手に選ばれた温泉です。

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地面を鉈で割ったような地形をしています。


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九十九折りの階段を降りて、海へ向かいます。



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都が安全のためにセメントを吹き付けているので雰囲気が変わっていますが、かつてはヘルメットを持ってくることというルールがあった場所らしいです。


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落石注意、当たってしまったら自己責任。



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地面も砂が崩れるので舗装されたそうです。


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津波の時は避難しないといけないけど階段大変ですね。

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神殿のような階段です。


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加工しやすい抗火石はあちこちに落書きがされています。




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この階段を掘削した人がいて、そのおかげで船でないといけなかった温泉に歩いて行けるようになった。ということを讃えた記念碑も、岩を掘って作られています。字が綺麗ですね。


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あれこれ文字を見ながら歩いていきます。
鋸山もそんな感じでしたね、戦前のやつとかも残っていたり。


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渥美清さんもきて、記念撮影やサインに珍しく応じたという温泉です。

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プクプクお湯が湧いています。


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ここで秘密兵器赤外線カメラを照らしてみると、
おおー確かに源泉が暖かいのがわかります。

でも、表面温度だけではだめで、肘ぐらいまで手を入れて、底が熱くないことを確認してから着替えてくださいという説明がされました。

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木の栓をしようとしていた跡がありますが、ずれてしまっています。
この地鉈の亀裂状の地形の左右で地層が違うという話を聞きました。つまり断層なんですかね?


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海が満ちるころで、足湯をしていたらあっという間に海水が流れ込んできてお湯はぬるくなってしまいました。

水着で飛び込んでもいいんですが、更衣室と称して岩陰に隠れて着替える感じなので、まぁ足湯でいいかぁ…という温度感に。



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でも潮位が上がって芦屋どころではなくなってしまったので撤収します。



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おおーーこの上を登らなくてはならないのねー。


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ヒーヒー言いながら登り詰めました。

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落石注意です。

ここから少し歩くと

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湯加減の穴なる穴がありました。

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赤外線で見ると、ご覧の通り、あったかい!
どうやら蒸気が出ているみたいですね。

子猫の目撃談もありました。式根島には化け猫の伝説があって4本足の動物の持ち込みが禁止されてきましたが、ネズミの増加に伴って解禁され、いまは猫の島と化しているんだとか。

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式根島温泉憩の家
温浴施設です。なんと今日は休業日!!!!

その近くの足付温泉に向かいます。


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アシカと一緒に温泉入るのは結構怖いなぁと思うんですけど、昔の人はアシカをどういう目で見ていたのでしょう。
わたし先日おたる水族館でトドを見たんですが、迫力があってちょっとビビっておりました。

さて、こちらが温泉です!

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んんんんん???
海ですね、これ。
満潮で水没して、どっからどう見てもただの海です。

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近寄ってみると、浸かっているツアー参加者の方もいました。あったかいかどうか聞いてみたら、ちょっとこの辺はあったかいかも…?というなんとも微妙な反応。
手を入れてみましたが、うん。ぬるい。ただの海です。

この近くに別の温泉があるとのこと。そこはあったかいですよと言われたので、行ってみます。

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しかし急速に薄暗くなってきました。

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海沿いに巨岩が並びます。


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ここですね、松が下雅湯です。
地鉈温泉と同じ成分の人工温泉で、海の潮位に振り回される他の温泉と違い、24時間安定している温泉です。
足湯のできるデッキがあって浸かったところ、底がヌルヌルしてなんとも効きそうだなって感じのお湯です。皮膚科に行く前に地鉈温泉に行くと聞きます。24時間利用可能な露天風呂には地元の方もよく浸かっているんだそうです。

ちなみに大事な話ですが、式根島の露天風呂は水着必須ですので水着を持っていきましょう。
まだここまであるのですが、感想として温泉を回って楽しむことを考えると、男性でもラッシュガードのような上半身を覆う服を用意しておくといいと思います。更衣室やシャワーもあるにはあるんですが、水道そのままなんで、温水シャワーは宿に帰るまでないと思ってください。
また茶色い温泉なのでタオルなども色がついちゃって大丈夫なものを用意しましょう。
浜辺の温泉にはゴミも落ちているので、ビーチサンダルも持っておくのもおすすめかも。

なので、地鉈温泉で人目が気になる人は、雅湯や足付温泉の更衣室を拠点にしてラッシュガードを着た上で回るのが個人的おすすめです。着替えは持ち歩いた上で。


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洞門を通って漁港へ出ます。


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集落に戻るとすっかり真っ暗に。
真っ暗な帰り道は北海道生活でも経験しましたが、明らかに違うのは、防風林の樹木が茂っていることによる視界の狭さですかね。
道もくねくねしていて先がよく見えないのです。民宿にたどり着いてホッとしました。
(じつは地鉈から観光協会の方が車で送ってくれようとしてくださったのですが、我々は歩いて帰る選択をしたのでした。ガイドの言うことはよく聞いたほうがいいですね。)



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ご飯の時間です!


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どーん!!
焼魚、お刺身、なめろう、お魚たくさん!
明日葉のサラダとかも珍しいですよね。
しっかりもてなしていただき、
同じ宿になった2組の方とも仲良くなれました。
まぁ、江の島発のツアーで来る以上は皆さんご出身も江の島近辺なので。式根島で地元トークする謎な感じが面白かったです。

ちなみに、右上に島唐辛子がありますが、気軽にパリッと口に放り込んだらいかんです。汗と涙がとまらない。慌てて水を飲みにいきましたが全然ダメ。
そこで思い出すのが、辛味成分であるカプサイシンは親油性なので、水に溶けないが油には溶ける!ということ。
ナスのはさみ揚げをガブリと齧ったら、甘じょっぱいお肉からあふれる油に辛味成分がとけて流れて中和されていきました。救われた…。


明日の船は出発時間を繰り上げて午前中に式根島を出ることになり、王様フリータイムになるとのことで、大島でタクシーを呼んで元町まで便乗しようかなどと相談する私たち。添乗員さんはあちこちに電話してて大変そうだなぁと思いました。


そして風呂に入ったら、もうそこから記憶がなく、翌朝の朝食の時間となります。
島に着いてからの歩数は、16000歩でした。