船は式根島・野伏港を出港します。


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右舷に新島を眺めます。

座席は中央列。30人しか乗っていないので窓際の空席へ移動する人もいますが、個人的にはこの荒波の中では重心に近い場所に座っていたいという気持ちが強かったのでそのまま真ん中に座ってます。


おわぁぁぁーー揺れるーってところからテイクオフ、安定航行に移るまでの様子です。


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手前に見えるのは式根島の防波堤。



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私の予想に反し、船は右に旋回を始めます。


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早島が左舷に。


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そして新島の東岸が見えてきました。

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あっ早島が割り込んできた。


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こっちは落ち着いた色の岩なんですがねえ。

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新島、真っ白です!
きっと抗火石が砕けて砂になった山なのでしょう。


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驚きの白さです。

通常、新島に寄港するジェットフォイルは新島の西側を航行するのですが、この船は新島による必要がないので、西風を避けているのでしょうか。


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よくインスタ映えスポットと言われる建物が見えました。こんなところにあるんですね。


ここで、携帯を見ると驚きの文字が。
「伊豆諸島に津波注意報」

えっ?!
Yahoo!アプリにプッシュ通知が出てきたんですが、通知の内容を確認しようとすると電波が通じない。
そしてTwitterのプッシュ通知も飛んできます。
私が式根島のビーチで遊んでいると思っていて心配してくれているのでしょう。津波が来るとか逃げろとか色々リプ来てました。

ごめんなさい、もう出ているんですがその情報を伝える手段がなかったんです…!

不思議なところで、プッシュ通知は通信量が少ないのかタイムリーに来るんですが、アプリを開くと通信に失敗してなかなか送受信ができないのです。

この時点で、私たちは津波の原因を知ることができませんでした。
なぜならば、震源地は鳥島という、八丈島の南にある遠い遠い無人島。人が誰も住んでいないので揺れに関する情報が通知されなかったのです。

そしてスマホを肌身離さず持ってる人間もyahooアプリで気象情報を仕入れている人間もこの船にはそんなに乗っていないようで、周りの乗客にはなんの反応もなく、私はわけもわからず津波注意報だけ受け取ってびびっておりました。誤報とすら疑いましたが、Twitterのリプが飛んでくるところからして、地理をわかっている彼らが言うんだからと本気度を感じてびびっておりました。

でも船は普通に進んで行きます。何かあれば連絡が来ているはずです。素人が騒いでも仕方がない。船会社から連絡があるまではまぁ大丈夫でしょう。

少しすると、八丈島あたりで地震が来て津波が1mほど予想されているというLINEが飛んできます。
つまり、津波は八丈島方面から我々の乗る結を追いかけるように接近していること、そして到達は我々の大島到着とほぼ同時であることがなんとなくわかってきました。

まぁでも、わかっていたとしても海の上の船。何かをどうにかできる環境ではありません。ここは船旅を楽しむことにしましょう。

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新島には草木が茂っている場所と、がっつり岩肌が丸出しなところがあります。この辺はいわがちがだた


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鵜渡根島を眺め、

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利島を眺めます。



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この辺りは波が強く全体がガタガタ揺れました。
(後で見たらこんなに大きな波はこれしかなく、もしかしてこれが津波だったんじゃない?とかいう話も家族に言われましたが、私はこれに対して答えを持っていません。普通の波ではないかと思っていたんですけども、詳しい方いたら教えていただきたく。)


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船窓を動画にとっておけばよかったなぁ。

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利島と大島の間は、大型貨物船が多数行き交うエリアです。
大島の基地局のおかげか、携帯の電波が少しつかまるようになってきました。


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大島、三原山が見えます。しかし見え方が少し変です。
東岸の大島公園の方を抜けて岡田港につけるつもりなんでしょうか。津波の前にたどり着けるのか、着岸したらターミナルの最上階まで賭け上がれるのか、頭の中ではあれこれ考えつつ外の景色を眺めます。


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大島公園のあたりだと思います。


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よく見ると、何やら見覚えのある船が。
さるびあ丸です。

あれれ、大島を昼過ぎに出るはずのさるびあ丸が、なぜ大島公園の方にいるんだろう?
不審に思いながら無意識にシャッターを切っていました。
よく考えたら、津波注意報を受けて船を沖に出していたんですね。

このあたりで添乗員さんからお知らせが。
「津波注意報が発令されています。航行には問題ありませんが、大島岡田港が入港不可能となっているため、この船は注意報の発令されていない江の島湘南港へ直行することとなりました。
着岸のための地上係員を江の島に急行させますが、予定外のため間に合わない場合、着岸まで時間がかかることがありますのでご了承ください。」

なるほど、そうきましたか……。

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大島で出来た突発的なフリータイムに備えて、せっかく大島バスの時刻表や岡田港近辺の休息スポットを書いて配ってくれたのに……。

じつは道中、過去の江の島ツアー参加歴について会話する機会があったのですが、
式根島での添乗員の仕事は今回が初めて、なんて話を聞いたのですが、なんというか"持ってる"なぁと、同じ民宿に泊まった参加者の方々と苦笑いしておりました。
さらに2月の江の島ツアーではハイキングコースの添乗を担当したそうです。
そう、あの三原山に雪が積もった日……

ある種、強運の持ち主だなと思いました。

個人的な感想として、この方の先導で青ヶ島に行ってみたいなぁ、とか思いましたね……。
いろんな意味で、めちゃくちゃ撮れ高ありそう。


後日談ですが、式根島観光協会の方も、見送りの後に注意報が出て安全な場所へすぐ退避となったようです。
あとちょっと出港が遅れていたら……津波注意報解除を待っているうちに波が高くなって、式根島から帰れなくなっていたかもしれません。
泊神社にお参りして良かったね、と思うようにしています。


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江の島への帰り道、皮肉にも富士山が顔を出しました。
ちょうど初冠雪の日だそうで、ちょっと雲か雪かわかりませんがてっぺんが白くなっています。


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見慣れた風景が戻ってきました。


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漁船が並んでいます。



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そして、

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見覚えのある島影が見えてきました。



船は着水すると木の葉のように揺れます。
式根島のガイドさんから教わった「船が上がったら息を吸う、下がったら息を吐く」これを徹底してなんとかやり過ごしました。
江ノ島の湾内は穏やかな部類ですが今日はそれでも風が強くて揺れていました。


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湘南港へ到着。
ここは江ノ島と表記されていますね。



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自称、江ノ島アングルです。

孤立無援のなか頑張って導いてくださった添乗員さんにご挨拶しました。
「このあと大島に戻るんですか?」
と聞くと、その予定らしい。

うん、迎撃しなくては。


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船はすぐに離岸します。


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スピーディに離れていきます。
日中に船が来ることは非常に珍しいです。


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江ノ電との並びはタイミングが悪く見れず。


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釣り人もびっくりしていました。

添乗員さんを乗せて船は出ていきます。
ありがとうと、がんばれの気持ちを込めて、手を振りました。




ここで、同じ宿に滞在した方ともお別れ。
ご挨拶し、記念に自撮りをしました。

私はここで船を待つので、またどこかで〜〜
と、解散となりました。



実は式根島で食べる予定だった昼食のお弁当を船内でもらったので、ヨットハウスで食べようかということになり、向かっていると、
……あれ、さっき別れた人がこちらに歩いてくる。


どうしたんだろう?

「船の中にスマホを忘れてしまって、添乗員さんと連絡がつかないか」

なんと!
とりあえずヨットハウスで座ってやりましょう!ということで、行程表に書かれた緊急連絡先に電話。
すると大島の担当の方に繋がり、式根島担当の方に繋いでもらうことに。

結局携帯は船内で見つかったのですが、受け取りはどうしましょうかということに。
大島から江の島に戻ってくる時に受け取るよう調整できたので、あとは結を待つことになりました。

まずは腹ごしらえ。一緒にお弁当を食べます。

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みやとらさんの日替わり弁当です。
食べ応えがあって美味しかったです。



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ヨットハウスにはとびっちょのカフェが入っています。
アイスご馳走になりました。




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2階の大会運営室をちらっと見ます。
モーニング娘。'20「人間関係 no way way」のMVロケ地として私の中では有名です。

ちょっとハーバー内を散策

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サザエ島に来ましたが、完全に水没していて散策できず。
岸壁にはうみねこいっぱい。


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いい看板がありました。
いらすとやに駆逐される看板です。

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朝方、江ノ電バスをどうにか撮れないかとか。


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ここでジェット船を撮れるかロケハン中。
ここで順光な時間は着岸して下船したら即離岸するので、ここで撮るともうチャンスがないんですよね。
それにしてはびみょいなぁと。
デザイン灯台を絡めて江の島テイストにするか?うーん。


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少し登ってみます。
保安庁の桟橋がいい感じに船を隠してしまう。


あれこれ悩みましたが、いい撮影地が思い浮かばず。

いずれはシーキャンドルからの撮影に挑戦してみようかな、とか思ってます。



さて、結はこの間何をしていたか。
我々が江の島についてからも、大島への津波注意報は発令されたままでした。

定期航路のセブンアイランド愛は大島寄港をせず新島から東京へ直行していました。

そこで、注意報が発令されている間、定期便で使用している熱海港へ退避していたようです。
熱海港には給油設備なんかもあったりするんですが、やったりしたんですかね?


その後、注意報が解除された岡田港へ向かい、予定通り15:20に出港、江の島へ向かっていたのでした。

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16:10前に岸壁に向かうと、船が見えました。
かなり波が荒れています。


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この時の三浦と辻堂の気象データを見ると、風向きは西南西。
南風の強い夏には45分程度で来た日もあります。


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うなりの中を切り裂いて波飛沫を作ります。画としてはいいですね。

そして着水。

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着岸のため釣り人を移動させたりするので着岸には時間がかかりがちです。

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江ノ電が来ました。305が鎌倉方に…。



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いまは岸壁を補修しているため、ケーソンが並んでいます。これも記録として。

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着岸していますが船が揺れています。
タラップが動くので降りる人も大変。
ボラードの周りに人が立って、客が近寄らないよう見張っていました。


そしてスマホも無事に手元に。
大島から降りてきた添乗員さんの数すごく多かったところがツボでした。ほんと長旅お疲れ様でした。


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結たそ。


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江の島っぽくもう一枚。
陽が傾きましたなぁ。

ちなみに前回6月に運航された時はこんな感じでした。
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1日目、結


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2日目、愛(間に合わず)


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3日目、友


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さっき登ったさざえ島の台とともに。
160人が下山するのでだいぶ時間がかかりました。

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そして出港。
なんとベビースター電車が現れました!
9末まで運行だったはずがしれっと延期されて実現した貴重な並び。バシバシ撮らねば!

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ゆっさゆっさ。
あー、人が降りて軽くなったもんねぇ、うん。


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ギラリ。


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鎌倉高校前駅と結。

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後部水中翼を下ろす作業が始まります。

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そして結に雲がかかる…ここで雲かい…!
露出がーーー!!



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ジェットブラストに遮られてしまいました。

こんどは添乗員さんとも一緒に記念撮影に応じていただき、2日間の航海が終わりました。


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江の島弁天橋からの眺め。
満潮で、うねりの強い波。遠くに烏帽子岩が見えました。

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じつはこのときスマホ捜索のお礼にと、浜野水産のしらすをいただきました。
江ノ島駅前の踏切から湘南海岸公園のほうへ線路沿いを歩くとある店ですが、買ったことはなかったんです。
ふっくらしてて美味しいです。ごはんのお供に良いですね。


さて、最後まで旅程通りにはいかないドタバタ感でしたが、こういうのも旅としてはだいぶ味わい深いものになったんじゃないでしょうか?
誰が悪いってこともなくて、とにかく暴風と地震という二大気象現象に人間には成す術がないということを学ぶ機会となりました。しかし昨年の新島は出発時点からキャンセルとなってしまったので、短時間でも滞在して宿泊して、それで無事に帰って来れてよかったです。

あのあと、津波の時どうだったん?ってめちゃくちゃ質問を受けるので、この記事でとりあえず問題なかったよーってことが伝わればいいと思います。
それどころか、突発的事情ではありますが式根島から江の島への直行便が運航される、という江の島航路史に残る出来事が起きたと思います。これはきっちり記録しなくてはなりません。


2009年から人気が続く江の島航路、私は昨年以来3回目の参加となりますが、過去の大島便ではこのように他の参加者とコミュニケーションをとることはほとんどなかったんです。(同行者が居たとかオタクが乗ってたとか事情はありますが)
しかし式根島は宿泊の過程で、同じ釜の飯を食うからか、酒の力が人を繋いだのか、地元の人だったからか、同じ民宿の方とは仲良くなれた感じがありました。
とはいえ日取り上シニア層が多く、思うように動けないこともあり、大島便でもちょこちょこそういったトラブルを目にしたことがあるので、離れた島に添乗員さんひとりは大変そうでしたね、本当にお疲れ様でしたという思いでいっぱいです。

最近は新島へ行くことが多かったのですが、コロナ前には神津島のプランが企画された年もあるので、ぜひ近隣の島々にも江の島から行ってみたい、とも思いました。どんどん運航してほしいです。


あと利島は私が知る限り実績ないんですよね。
条件付き運航になりがちだからでしょうか。


最後に、ちょっと式根島情報。


私たちが帰った翌日の10月6日から、式根島で謎解きイベント「式根島ビジランテ」を開催しているらしいです。
ビジランテ: vigilanteとは、英語で自警団の意味。

あらすじを読むと、魔王が封印された宝島・式根島の自警団のメンバーとなって、クエストに挑戦するというストーリー形式らしいです。

ところで、リンクを辿るとこの自警団の取り纏めが"タムランテ"という人物らしいんですが……ぜひ会ってみたいですね。
今月末にはさるびあ丸がドックから出て定期運用に戻ると思うので、ぜひ謎解き好きな友人を連れて再訪したいと思います。

まいまいず井戸が本当に井戸として機能するのか気になってる話も、その時聞けたらいいな。

江の島ツアーの顛末はこれにて。
それでは、ふたたび牛歩のブログに戻ります。