2023年12月2日・3日の2日間、タンコロまつりが開催されました。
今回のタンコロまつりは、事前に駅置きのパンフレットとかなくて、
本当にこういってみないと何が起こるかわからないような感じでした。
ちょっと平成期のタンコロまつりの雰囲気があって面白かったです。
タンコロまつりというのは、江ノ電がだいたい秋冬にかけて開催しているイベントで、
極楽寺検車区に保存されている108号(通称タンコロ)を公開するイベントです。
タンコロって何ですか?って聞く方も中にはいます。この由来ははっきりしていません。
現役当時マニアからは単車とかボギー車とか呼ばれていたそうですが、引退するころにタンコロという愛称がついてきたらしいんですよね。
私が知る中で一番古い「タンコロ」が出てくる文書は、具体的な号数を忘れちゃいましたが引退直前の江ノ電沿線新聞で、同じように晩年になってから愛称が出てきた車両として600形の「赤電」なんかもあるらしいのでここら辺が震源地なのではないか?とか思っています。これも沿線新聞の見出しで赤電って書いてるやつがあるんですよ。湘南台の図書館にバックナンバーの縮刷版が収蔵されているので70年代のやつを是非読んでみてください。
最近では、
子どもはえのんとタンコロに群がって大人は部品と留置車両見てる印象あります。
では、行ってみましょう。

入口から、江ノ電ファンクラブさんのミニ江ノ電が登場。
手作りの木製車体、ヘッドマークがついています。
私も幼児期に乗ったことがある、大人気コンテンツです。

こちらはプラレールコーナー。
歴代商品から怪しい車まで色々。

今回の新作は白い1101。
この車両の話、まだブログに書いてないんだな……。

そしてカププラに出ていたサンオイル305。

カラフル江ノ電シリーズ(迫真)
あと、ファンクラブのオリジナルカレンダーも発売されていましたが、あっという間に売り切れてしまったとのこと。表紙がタンコロって時点でもう人気なんでしょうな。
だって他のグッズの購入層見たら分かるじゃないですか、缶バッジコーナーで301とか801とか買っていくおこさまの渋さ……こういう子たちが未来の江ノ電研究を引っ張ってくれれば、と思うのです。

さて、こちらが108号、タンコロです。
まぁ本ブログの読者には説明不要の存在でしょう。タンコロについて詳しく知りたいよって人はこの辺見てください。
このブログはタンコロについてはかなり重点的にやっています。そこらのYoutubeでゆっくり解説見るよりは詳しいこと書いてると思います。
さて、次の場所にいきましょう。

電車前で記念撮影体験、兼休憩室は501Fでした。
車庫の中に入れているので交戦が悪くても大丈夫なようになっています。
パンフレットだと昨年登場した10が描かれていました。
車庫の中も開放されていたので見てみましょう。

305用の木床とか、モーターの予備品とかが並んでいます。

あのかごみたいなやつが抵抗制御で使う抵抗器です。
かごに入っているのは走行時の風を取り入れて抵抗の熱を逃がすため。
七里ヶ浜とかで電車の脇を歩いているとムワッと暑いときがあるけど、それはこの部品が熱いからです。

108の鎌倉側先頭です。ライトの形が違うのでちょっと顔つきが違うって有名だと思います。
そして救援なんて方向板つけてます。この板は2009年くらいに江ノ島駅の待合室で展示されていたきり、撮影会とかにも出てこないし行方不明な感じでしたが、まだ持っていたんですね。
100周年の時はまだ稲村ヶ崎とかの写真もあるんですが、あれどこ行っちゃったんでしょうね…。
ほかにゲリラ撮影会が実施されていたので、情報が掴めなかった、辿り着けなかった方のために、その様子をお届けしましょう。

「試運転」
試運転列車はかつて定期列車の後ろを続行運転という方式で追いかけて走っていたといいます。

試運転の裏が「救援」
これは故障車の牽引が目的なんでしょうか。
誤乗防止のためとかに、資機材を積んで走る列車につけるんでしょうか。あまり使いどころが読めない板です。

「自然科学電車」
国鉄が戦後企画した修学旅行の子供達向けの旅行列車の江ノ電版。
ただ、使用実績がはっきりしていません。
この板は手書きで複数枚あってどれも風合いが少しずつ違います。インターネットオークションで流れているものもあるので個体差を見比べるのは簡単ではないと思います。

自然科学電車の裏面は黒一色。おまけとのこと。

こちらは107が使っていたという板。
救援とともに、江ノ島駅のNゲージの置いてあるショーケースに展示されていて、そのあと待合室に移転、そこからまたしばらくして数年ぶりに姿を見せました。

こちらが藤沢のもの。
車番がそれぞれ書いてあって、どうやら他の車のものは開業70周年とか75周年の時に売られたらしいんですよね。いまもどこか愛好家の元で眠っているのでしょうか。
今回の目玉はその後ろに置いてあったものではないかと思います。

振り向くとそこには304の前頭部。
2005年に引退して、2007年のタンコロまつりに登場、
それ以来ずっと検車区で眠っていた運転台です。
2007年に引退した303は2009年から江ノ島駅で展示されていますが、
こいつはずっとブルーシートをかぶっていました。

私は2007年は受験シーズンで参戦していなくて、行かなかったことを15年以上ずっと悔やんでいたので、ここで出会えてうれしく思います。
さて、この304という車、出自を辿れば108の同期車両である106と109を大改造して連接化したものです。とはいえ車体は台枠を残してほぼ新造、つり革や窓枠を流用したものの近代化で取り換えられて、テセウスの船みたいになっていた電車でした。

台枠を残して……
そう、この床下のフレームだけは106・109のものをちょっと拡張したもの。
連結器受けを切断していたりする様子が見えます。

この逆三角形に広がっている部分は304として拡張した部分で、その右が多分種車のもの。
これを現役時代にちゃんと記録している鉄オタと書いたら嬉しいんだけどな。生まれる時代が遅すぎた……。

窓枠を流用したから、車体は近代化されても窓のサイズはタンコロと同じ。
……なんですが、窓は切り取られちゃったのでありません。高さは揃ってるはずです。

2日目には引退時のヘッドマークを掲出していました。

さらに3番線の奥には、仮台車が置かれていました。

仮台車というのは、台車をメーカーに修理してもらう間とかに代理で使う台車なのですが、
これ、もともと304が履いていた台車の再利用なんです。
正確なデータは私も抑えていないのですが、
これは106の台車ではなくて、連接化の前に111/112と交換した台車で、そのルーツは大正時代に作られた西武新宿軌道線の車両ではないかとか言われています。

501の車内から仮台車を眺めてみます。モーターとつながっていた歯車がまだ残っています。
ちなみに江ノ電の台車は1編成に3つありますが、真ん中の台車はカリフォルニアの鉄道博物館に譲渡されているらしいです。じゃあ今真ん中の台車はどうしているかというと、301の廃車発生品を使っています。
301の台車は113、114の発生品で、出自も西武新宿軌道線の後身にあたる都電杉並線から購入した台車といわれていますが、だいぶ雰囲気が違っています。
モーター出力が高くて力持ちだったそうですが、乗り心地改善のために1990年代前半?に1500形同等のカルダン台車に更新されました。
(新型車との連結のための制御・ブレーキ更新は302が引退してから順次やっています。)
それだけでも、もう304の運転台と旧台車が揃っているわけですが、
では90年代に交換されたカルダン台車はどこへ行ったのか?

304の新台車は501に再利用されています!
500形はVVVF制御なので、これまでの直流モーターから交流モーターに載せ替えるなどの改造をしていますが、台車枠などはそのまま使っているようです。
このクラに置かれている車両や部品はみんな304が使っていたもの!!
あれもこれも304で、むしろサンヨンまつりではないかと思ったわけです。

そして304は108と兄弟車!
こんなに面白いタンコロまつりがありますか?!って話です。
直接制御器も304では2度置き換えられています。

こんなに顔つきも違うけど、もとは兄弟だったんですよ。

1950年代に大改造され2005年まで活躍した106と109、そして変わらない姿で今も保存される108。

夕方になって方向板が外されました。

窓の上、幕板という部分ですが、向かって右側の窓の上が窪んでいませんか?
ここ、むかし方向幕があったところなんです。

さらに、板を置いている部分なんですが、
ここに丸い凸凹がありますね。ここヘッドライトがあった跡らしいんですよね。塗装を剥がして修繕していた時の写真を見たことがあるんですがそこには溶接痕跡がはっきりあるのを見ています。
今回のえのんコレクション。

あんまり見ない顔。

ご安全に!
あと、このタンコロまつりに際して、
事前に305にヘッドマークが付きました。


前後で向きが違うのですっごい撮影大変でした……。



ギリギリで色も違いますがかろうじて。
あと、江ノ島駅待合室の展示もタンコロ仕様になりました。

タンコロについての解説、さらに方向板についての由来に関する説明もありました。

そしてこちらはHOゲージ模型。
江ノ電OBが作った紙製の模型です。
ふだんは形式別に並べられることが多い模型たちですが、今回はその模型が再現している時代設定順に並んでいました。

この待合室にある303。

検車区にあった304。

302、10。

800形と、1000形。
この車両が如何に革新的な車両だったかを示していると言えましょう。

306号、2両の高さが違うという変わった車です。
図面寸法を見ると実車寸法と明らかに違うことはわかるのですが、何を信じれば良いかよくわからない車でか。
これを模型にできるのも、実車をよく理解しているからこそでしょう。

デビュー時の304、ロマンスカーと呼ばれた502、
初の連接車301です。

タンコロも、112、105とさまざまです。

さらには単車。ビューゲルを使っていた時代から100形の登場時の姿まで揃っています。
このように、江ノ電の歴史を一通りなぞることができるという展示となっていました。
例年では300形の発生品らしきマスコンを改造したコントローラーで模型を運転操作できて、私も幼少期に遊ばせてもらって大人になりました。とうとうショーケースに入ってしまう時代が来たということ。文化が失われていくことにやや危機感を覚えるところもあります。しかし整備が出来なくては模型は走れない。なにかファンからできることないかな……。
ではでは、今回の戦利品を紹介しましょう。

もうサボは増えすぎてどこまで買ったか記憶にないので見込みでばさっと購入。
江ノ電ファンクラブカレンダーもなんとか入手できました。
切符に関しては、駅員さんコーナーで極楽寺駅の入場券を購入することでダッチングと入鋏を体験できました。鋏をチャキッと操作できる駅員さん、すてきです……。
今も改札鋏は新品が売られているらしいので、買っていろんな現業経験者にチャキチャキやってもらって動画に残せないものかな?とか思っています。
タンコロまつりシールは売っているというより、ガラポンくじの景品で、パンタでGOもその景品。
私は幸運にも2回回したら出てきたんですが、目当てのシールが当たらずおもちゃを抱えて頭も抱えている大人がいっぱいいてめちゃくちゃ面白かったです。
しまいには子供にシールとオモチャ交換しないかって声掛けしてゲットした人もいたとか??まぁ、お子様的にはそっちの方が嬉しいよね。

駅員さんサンバイザー、
こういうの、大人にもくれたのが嬉しいです。
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