2月の頭に書いてほったらかしてた記事を書ききって上げたので、時系列がぐちゃぐちゃですが。
江ノ電700形の702号が搬入されました。
2本同時期に搬入があるって1979年の1000形以来の出来事でびっくりです。
思えば12月20日にダイヤ修正をして、極楽寺入庫列車を鎌倉滞泊に変更したあたりが、その留置場所確保のためだったんですかね。
さっそくですが、702号が留置されていた七里ヶ浜の駐車場へ調査に行ってきました。

江ノ電と大島を絡めてみれる機会ってそんなにないんですよね。

701号はロマンスカーもびっくりするほどのグルグル巻きに養生されて陸送されてきました。
702号は、おそらくクレーンで接触するであろう部分だけ養生して出場してきました。
一般人が700形の姿を見る、初めての機会となったことでしょう。


1000形と。
700形の諸元については、鉄道新聞で公開されている情報があると思いますが、
その中で特に新設計と触れられているのが、コンプレッサーやブレーキ制御装置といったブレーキ周りの機器でした。

残念ながら新しいコンプレッサーとやらは見ることが叶わなかったのですが、
一つ気になった部品があるので紹介しましょう。

それがこちら、連結器。
普通の密着連結器です。
でも、今までの車両のものとはすこし違います。

こちらが在来車の連結器。
連結器の突起の上下にある、穴の数が違うでしょう?
今回はこの、連結器についた穴についてお話ししたいと思います。
要するに、空気指令式の電磁直通ブレーキ車が絶滅したって話なんですが、それだけ言っても多分これからの時代通用しなくなってくると思うので、その背景を含めた話をします。
まず、江ノ電の連結器史について、簡単におさらいです。
江ノ電で使われている連結器は、D90という密着連結器ですが、さらに昔、江ノ電ではNCB-6という密着自動連結器が使われていました。これは京急の廃車発生品で、都営地下鉄への直通対応のため取り外されたものでした。600形連結車で導入され、その後の続行運転廃止・4両化のために導入されました。

352についていたNCB-6
当時の江ノ電の連結は、密着自動連結器で車体同士を連結するだけで無く、運転席の操作で4両全てを動かすため、電気配線やブレーキ配管を繋ぐ必要があり、分割配合の手間になっていました。
この手間を解消すべく導入されたのが、密着連結器と電気連結器です。
密着連結器は名前の通り連結器同士が密着するので、ここに空気配管を通すことで、機械的に連結するだけでブレーキ配管をつなげることができます。また電気連結器を併用して、電気配線も瞬時に連結できるようになっています。
こんな便利な連結器、小田急では1970年代には普及していましたが、江ノ電で導入されるのは1992年。分割併合のある路線でも密連が使われなかったのには、江ノ電ならではの事情がありました。
この密着連結器は、連結器が車両の正面を向いていないとうまく連結ができません。そのためバネで連結器の向きを中心に向ける必要があります。
しかし、連結器は連結していると左右に揺れます。このためバネを固くしすぎると連結時に無理な力がかかって連結器にダメージを与えるのですが、江ノ電の場合急カーブが多いので充分な遊びが必要です。この背叛する要件を満たす連結器の開発が、江ノ電の連結器交換の大きな課題でした。2000形を導入した1991年頃になって試験が行われ、それから15編成29両(廃車の近い352を除外した)の連結器を交換することとなったのです。

302の連結器は10形に流用されたので保存車からは取り外されています。
が、密着連結器の支えなど台枠に追加されているなどの様子は見てとれます。

352側は改造されなかったので、オリジナルの連結器が残っています。
それでは、連結器交換の歴史を整理したところで、連結器の違いを見ていきましょう。
この1991年から交換された連結器には、多くの穴が空いています。もう少し詳しく見ると、従来車の連結器の場合、突起の上に3つ、下に1つの穴があります。下の穴にはゴムチューブのようなものが付いていますが、上の3つの穴は、現在使われていません。
この穴は、それぞれ役割を持った空気管を繋ぐための穴です。比較として小田急の古めの車両などを見てみると、その違いがわかります。

拡大してみると、上の穴にもゴムチューブが繋がっているのがわかります。
(大手の電車って密自連使ってるところしか撮ってなくて、いいのがないですすみません)
電車の空気ブレーキとして最も原始的なものが直通ブレーキです。
コンプレッサーで加圧した空気を、元空気ダメという空気タンクに貯めておきます。その空気を、ブレーキ弁の操作によって、直通管と呼ばれる管に加圧することでブレーキシリンダーに作用し、ブレーキをかける仕組みです。
このタイプのブレーキには、コンプレッサーの空気を編成に伝える元空気ダメ管と、ブレーキシリンダーにブレーキ力を伝える直通管という2本の管が必要です。
さらに、編成が途切れたら直通管が損傷した時に備え、非常ブレーキを動作させる非常管という管を併設していることもあります。
江ノ電の場合、旧式連接車には非常管という管がついていて、これが加圧されています。編成が途切れると空気漏れが起こり、これを検知して非常ブレーキを掛けるという仕組みがついているのです。
このブレーキを非常管付き直通ブレーキ(通称SME)といいます。
SMEは運転台で直通管の圧力を調整しますが、それではブレーキの空気を調整するには時間がかかるので、電磁弁を使って各車両とも連動してブレーキ操作を行う仕組みが登場します。
これを江ノ電では電磁SMEと呼んでいました。
運転台ではブレーキ弁の操作によって、自車のブレーキ管から空気を放出し、電磁弁を通じて他車のブレーキ弁も同時に操作することで、応答性の高い空気ブレーキを実現していたわけです。
これが1000形以降の新造車になると話が変わってきます。新造車のブレーキは「電気指令式空気ブレーキ」HRD-1と呼ばれる装置になっています。
先ほどの電磁SMEはブレーキ弁の操作によって電磁弁を操作する仕組みでしたが、電気指令式ブレーキではその電磁弁の操作は運転台からの電気信号によって行われます。
つまり、車両間に通す空気配管は、コンプレッサーからの空気を各社に供給する、元空気ダメ管だけで充分になりました。
このような進歩の結果、江ノ電の連結器でも、穴がひとつしか必要なくなったのです。
とはいえ、江ノ電が連結器を交換した1990年代、まだ302から502までの旧式連接車6編成は、台車こそカルダン駆動に更新されていたものの、ブレーキ制御装置は従来の電磁SMEがそのまま使われていました。台車の話題でもしましたが、この制御機器更新と台車更新の時期のずれがいろんな痕跡として残っているのが旧型車の特徴だと思っています。
旧型の制御装置を使っていた時代は、密着連結器の上段の穴を直通管や非常管を通すのに使っていたはずなのです。
「はず」というのは、私が江ノ電に出会う前にこの構成の車は絶滅してまして、写真でもここをクローズアップしている写真が少ないんです。という点で確証がないのですが、連結器に直通管らしいものがあるのは古い写真から確認しています。
2001年に旧500形が機器更新されたことで、全ての車両が電気指令式空気ブレーキになりました。以降の車両も連結器を流用していたのでしょう。
それから35年が経ち、全国的にブレーキ方式の更新が進みました。
小田急でも、3000形あたりまで行われていた自動空気ブレーキ車との併結がなくなり、新5000形などは固定編成なのでブレーキ管を密連で繋ぐ必要もなく、連結器に空気管の穴がありません。
ということで、時代の潮流に合わせて、新造車の連結器から穴が無くなったわけですね。
本当は図を書いた方が説明しやすいのでしょうが、
空気管からどうやって説明しようってのが難しいですね。
ちょっといい感じにポンチ絵がかけなくて…
2000年以前の、機器更新前の江ノ電の密着連結器を写してる方!
お写真提供いただけないでしょうか!探してます!!
フィルム代もバカにならない時代に撮ってる人なんていないと思いますが…。
ここからは加筆のオマケ。
陸送時に見れなかったコンプレッサーですが
その後夜中に試運転をやっているとのことで見に行ったら見れました。



こちらが新しいコンプ。従来車のものより静かな音になっています。
停止するときのエアーのプシューという音も少しつつましい。

そして新しい台車。
報道公開の様子を記録しているメディアもだれも記録していない台車銘板を探してたんですが、
従来の台車とは違うところにあったんですよ…!

ここ。分かるかい。
たまたま明るいところに停まってくれたので読めました。
TS-837Cと書いてあるのが読み取れました。
私のカメラと手振れ補正(呼吸を止める物理技)ではこれが限界。
早く明るいところで見たいなぁ……。

700同士の連結運転もやっていました。
ド深夜に江ノ島鎌倉フリーパスを毎日買って、今日は走らないかあとか言う生活。
あれ、駅では日が暮れると終売しちゃうの、なんでなんでしょうね。
僕みたいに22時から江ノ島観光したい人だっているかもしれないじゃないですか。
Emotだと終電ギリでも買えるんでサッと買って小田急に飛び乗るわけです。
いっそこうでもしないと買わない1か月定期でも買えばよかった。

500形、10形などとも併結試運転をしていましたが、
メディアが言うには、当面は700形同士で運行開始するんだとか。

この2か月、頻繁に走っていた700形。
色々なケーブルが繋がれている日もあれば、なんもついてない日もあったり様々。
20年ぶりの新車ということで念入りにチェックしてるんでしょうか。
運転の練習もあるんですかね?
ブレーキ制御装置が変わって、具合どれくらい違うんでしょう。
突っ込んで取材してくれるメディアさんは居ませんか?
しかしニキ事件に代表される、大荒れのイメージがある試運転も、
この時期はほぼ毎晩走っていて、たぶん珍しい列車が撮りたいネタ鉄は飽きたんでしょうね。
VSEとかそっちに転戦したのか、全然人いませんでした。
305も1週間くらい試運転してくれたらいいのにって思ったりしました。
「えー2日目くらいに行こうかなぁ、やっぱパス」って言っていかない電車オタクきっといっぱいいるはず。
新車の話題があちらこちらから聞こえてくるので、地元もかなり注目しているようです。
内装もかなりユニークですし、好印象という様子。
まぁ、吊り掛け吊り掛けってうるさいのは電車マニアだけですからね。
地域に愛される電車になってほしいと思います。
4月の運行開始が楽しみです。
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