その昔、バーガーチェーンは看板に「ハンバーガー」を記す慣習があった。きっとまだ、ハンバーガーレストランというものが食生活に浸透していなかった頃の戦略なのだろう。

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「マクドナルドハンバーガー」もそのひとつ。
だんだん更新されてきていたものの、商業施設内に残存していた店舗が近年施設の都合でバタバタと閉店して、急速に絶滅危惧種になってしまった。


さて、ロッテリアがゼッテリアに商号変更するらしい。
そう聞いて、京急に乗り金沢八景を目指す。


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八景島シーパラダイスのフードコート。SEA SIDE OASIS。
カレー、ラーメン、アイスと様々な業態の店舗が並ぶフードコートだ。
そのなかに一店舗、ハンバーガーショップとしてロッテリアがある。
ロッテリアハンバーガー という看板が残る。

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ロッテリアは1972年にロッテグループの企業として発足。ロッテとカフェテリアを合わせたファストフードチェーンとして発展してきた。
ロッテリアの沿革を見ても、このフードコートは「ペリカンデッキ」という名前で93年5月に開店したと記されている。
当時の業界史を読むと、マクドナルドとの価格破壊とも呼べる価格競争に苦しむ業界が、多角的な業務展開と差別化に意欲的だった時代。
ここはロッテリアがフードコート事業への活路を見出し送り出した店舗であったらしい。

『Franchise age』24(3)(266),日本フランチャイズチェーン協会,1995-03. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2882475 (参照 2026-02-04)

2023年、ロッテリアはロッテの手を離れ、「すき家」「はま寿司」「ココス」などを抱えるゼンショーグループに売却された。ゼンショーは「絶品バーガー」シリーズを中心としたブランドを新展開し、そこで絶品の文字をとってゼッテリアという屋号の店舗を展開し始めた。
そして今年3月をもってロッテリア全店舗を閉店して、全てゼッテリアに統一することになったらしい。オールドマックなどと比べると古い看板がよく残っていると言われるロッテリアだが、きうじはここ八景島しか知らない。
慌てて回ってももう遅い。きっとこれが最後のロッテリアだろうと思った。


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てりやきバーガーのセットをチョイス。

思えば、藤沢駅にはかつてロッテリアがあった。
ルミネの、いまクイーンズ伊勢丹があるさらに奥にあって、JR駅構内からも利用することができた。小さい頃だが2回くらい連れて行ってもらったことがある。

どうもきうじはゼンショーと相性が悪い。
いや好きとか嫌いの話ではない。港南台や戸塚とかそう言ったところに店舗があるが、生活圏で出会う機会がないのだ。
なんとなく、ロードサイドか、あまり大きくない駅の少し駅から遠いところに出展している。主要駅の駅近にはライバルが並んでいて、そういうところとの戦いをあえて避けているように感じる。
たぶん出店地に選んでいる客層がきうじの生き方とマッチしないのだろう。ゼッテリアに転換された店舗はまだ見かけたことがない。茅ヶ崎のロッテリアもどうなってしまうのだろうか。


八景島にはかつて多くのレストランがあって、
過去の資料を見ると、日本大通りで2024年まで営業していたサンテオレや、崎陽軒、ゼンショーのすき家などもフードコートに出店していた。

『パブリシティダイジェスト』,明治サンテオレ,[1994]. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/13111726 (参照 2026-02-04)

メリーゴーランド の周りにも飲食店や土産屋が並んでいたのを今思い出すと懐かしい。

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いまや完全に更地になってしまい言葉を失った。
バブル絶頂期のなかで作られたテーマパークが少しずつその形を失っていく。
きっと働き手も昔ほど多くなかったのだろう。

ひとつひとつに時代の閉塞感のようなものを感じてしまう。


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もう一つ。
金沢八景のイオンに向かう。


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イオン金沢八景店。
 
ここは1991年、プランタン金沢八景として開業。
「プランタン」とは、あのダイエーが百貨店に参入したブランド。「パリの普段着の生活を提案する」というコンセプトのおしゃれさを重視した百貨店だったものの、わずか3年でダイエーに業態転換してしまう。
詳しいことは神戸の流通科学大学にあるダイエー資料館で知ることができる。
あとは参考資料として開業当時の流通事情に詳しい本があったので紹介しておく。

苅谷昭久 著『横浜流通戦争 : 21世紀に向けて「大いなる商い」の実験が始まった』,オーエス出版,1993.1. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/13110917 (参照 2026-02-04)



ダイエー系列といえば、ドムドムハンバーガーである。
ダイエーはかつてマクドナルドとの合弁会社を作ろうとして破談となったことがあり、独自のハンバーガーチェーンとしてドムドムを設立し、マクドナルドの上陸に先立ってわが国初のバーガーチェーンとしてドムドムハンバーガーを開店させた。その後、ドムドムは紆余曲折を経て、ダイエー系列のオレンジフードコートの一事業としてディッパーダンとともにダイエーの店内に多数展開してきた。

同じようにダイエーはコンビニを普及させようとセブンイレブンを視察し、その後のセブンイレブンの日本参入に対抗してローソンを日本上陸させるといったことをしている。
この辺りもダイエー資料館に詳しい資料があるのでぜひ訪問してみてほしい。



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近所のドムドムといえば横須賀ショッパーズプラザだったが、コースカになってしまいドムドムもなくなってしまった。
江ノ電バスファンには有名な戸塚ダイエーにも、ディーンズバーガーというドムドム系列店があったが、これもイオン戸塚店の建て替えによって姿を消した。

そんなダイエーとともに歩んできたドムドムが、今窮地に立たされている。
ダイエーが関東圏の事業をマックスバリュ関東に譲渡し、株式会社イオンフードスタイルとして再出発することになった。

ダイエー資料館の映像コーナーでも聞ける「47都道府県に店舗を持つ日本初のナショナルチェーン」という栄光がとうとうその名とともに崩壊していく。ダイエー帝国の終焉をこの目で見ようと近隣を散歩してみる。

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鎌倉市梶原(湘南深沢の少し東側)のグルメシティ鎌倉店も閉店した。
床タイルから感じる忠実屋の匂い。

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グルメシティとは、大型スーパー(GMS)に対する食品特化のスーパーとしてダイエーが設定したブランド。
ただしイオングループになってからは同様の店舗として「ピーコックストア」「マックスバリュ」などがあって地域ごとに再編を繰り返してきた。



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京急バスの乗り納めに寄ったもののこういう店舗があることを知らなかったので最後に見れて良かった。

さて、ドムドムに話を戻す。

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ということでやってきたのは相模原市は上溝。

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いかにも忠実屋のタイルである。
ダイエーは神戸で創業し、全国進出への足がかりに各地で展開している企業を買収した。関東では忠実屋がそのひとつで、床のタイルを見ると忠実屋の痕跡のように感じるのである。

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やってきましたドムドム。
ディッパーダンはカウンターにその名残を感じながらドムドム店舗になっていました。
かつてはこの区画がオレンジフードコートの一角だったのでしょう。

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どん

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今夜はまいたけバーガー。
雪国まいたけを甘辛の照り焼きソースで味付けしたもの。
歯ごたえのある舞茸がジューシーで、旨みがぎっきりしたバーガーでした。
むしろ噛みきるのが大変。


もう1店舗、三ツ境店のドムドムも閉店が決まっている。

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イオンフードスタイル三ツ境店。



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花柄タイルがなんとも忠実屋である。

傾斜地に建っていて、正面は2階。

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三ツ境駅のバスターミナルの前にあるところ。
なんというか、戸塚ダイエーのような匂いを感じる。

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最近マックに魅力的な商品がなくてコーヒー飲みにいくばかりになってしまっている。
一方ドムドムへ行く頻度は週一ペースまで上がっている。県内に3店舗しかないにも関わらず、である。


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春菊かき揚げバーガー。
ザクザクとした食感で食べ応えを感じる。
野菜だから健康。




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ダイエー帝国の栄華を感じる写真が飾られていた。



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すると神奈川県内に残るドムドムは金沢八景ただ1店舗、関東地方という括りでも11店舗となる。

イオンへの業態転換の副作用にしては、あまりにも悲しい。八景に残っているだけありがたく思うべきなのだろう。しかし本当に寂しい。

ドムドムは業界トップのメガチェーンにあえて対抗しない独自路線を展開。フランチャイズ店舗を数で攻めない方式をとっている。しかし店舗は減るばかりなのである。

これからも金沢八景に行くたびにドムドムを攻めていくのだろう。
しかし東海道線沿線に店舗がないのか……。
吉野家の社長が経営戦略で炎上したが理屈は間違ってないと思う。せめて若い人の多い根岸線沿線にできてくれないだろうか。