ゆき!ゆきだよ!!

2022年以来の雪の風景です。
あの時撮れなかったんですよね。
箱根登山鉄道の風景がTwitterに流れてきて、
もう箱根行くかぁと思ってたら
湘南エリアにも雪が降りました。
しかし家を出たら晴れるという。
おわった…と思った片瀬江ノ島。

舞い上がった粉雪なのか、
海の上に霧が発生していました。
これで晴れたら雪も溶けてしまう。
いっそもう雪フォトが撮れなくてもいい!
私は江ノ島駅へ向かいます。

江ノ電かえる※のさんごろうとやってきました。
※2019年6月に小田急百貨店のイベントで発売された、かえるのピクルスと江ノ電がコラボしたぬいぐるみ。
あの頃は電車と建築しか頭になくて、かえるのぬいぐるみに興味なかったんだよ。
クリスマスプレゼントにお譲りいただきました。
さんごろうなのでサンゴーに合わせるわけですが
ほんとのお目当てはそこじゃない。

私が見たいのは線路。
しかもこの留置線の線路。

転轍機なのです。
少しわかりにくいので逆のホームに行きましょう。

わかりますか?
線路の下に火がついているのが!

これは「融雪カンテラ」というもので、
転轍機の可動部の凍結を防ぐための灯油ヒーターなのです。
その概要については、FNNが江ノ電に取材した記事が公式見解をわかりやすく説明しているので、あえて私から説明することもないでしょう。

線路の下で炎がユラユラしてるのは底面式というようです。
底面式は比較的原始的な方法で、注油や点火などを手作業で行う必要があるため近年は数を減らしてきています。
江ノ電でも江ノ島駅の側線など一部に限られるようになりました。ここは夜間早朝にしか動かないので、カンテラが焚かれていることが珍しいのです。

雪の予報が出るたびに私は江ノ島駅に行くのですが、
そのたびに引き込み線のポイントを見てはがっかりする日々。

いっぽうこちらは江ノ電の本線でだは定番となった、側面式と呼ばれるカンテラ。
事業者によっては「融雪灯」とか呼んでいるらしいです。
これ、私はてっきり電熱式に置き換わったのだと思ってたのですが、これも立派な灯油ヒーターだそうな。
カバーの内側で火がついているらしく、よくみると煙がジューと出ています。
さらには、点火装置がついていて遠隔操作で火をつけたりできるシステム化されたものもあるらしい。どこの事業者で採用されてるのかまでは調べられなかったのですが、江ノ電はどっちだろう。峰ヶ原とかは遠隔なんでしょうか。
実は冬が来ると毎度、カンテラ調査に夜な夜な出かけるんです。江ノ島駅側線の底面カンテラは動いてなくても、本線の側面カンテラはわりと頻繁に稼働している様子が見れたんですよ。
だから点火やメンテが集中制御できるとかいいところがあるんだろうなと思いました。
カンテラ含め融雪装置というのは、この辺りでは稼働が貴重なモノで、一方雪国では生命線ですから、この辺りの取り組みには地域差があると思うんですよね。
とはいえ、年に一度でも降る雪の対策として、ポイントの誤作動を防ぐためには、雪をためない、押し固めない、凍らせない。という仕組みが必要です。
そのため、電熱式や、パイプ内にお湯を循環させる方式、大量の水で溶かす方式、空気圧で吹き飛ばす方式など、新幹線での活用例ではさまざまな論文があります。
一方、こういう地方私鉄のやつは技術が枯れているのか、資料が少ないですね……。
しかし、2種類の方法があるならば、やはりいろいろと比べてみたいもの。
側面式が底面式に比べ優れているのは、
給油タンクを別に配置できるため、給油が簡単であることとか、
管理コストが簡単であるということが言われているんですが、
そもそもヒーターとしての性能はどう違うのか?
気になりませんか??
ということで、赤外線カメラFLIR one Proを使って、
熱の伝わり方を可視化してみましょう。

側面式カンテラを赤外線カメラで撮影してみます。

熱源が放出する赤外線を捉えるカメラです。
暖まっているのが分かります。

いっぽうこちらは底面式。

ポイントレールを下からあぶっているのですが、
両側の枕木にはもう熱が伝搬しないくらい、局所的に熱が集中していることが分かります。
灯油ランプの炎は1000度とかに達することもあるようですから、これでも冷えているのだと思います。

いっぽうこちらは側面型カンテラ。
カバーがついているので、熱源を直接見ることができません。
そして、内部に灯油ヒーターがあって、灯油の炎で炙られた金網が加熱し、そこから熱伝導によって線路を温めているようです
底面型は炎で炙る伝導と炎そのものの放射熱もあるはずで、そこが温める方式との違いでしょうか。
それでも、ヒーターとしての性能については、両者で大きな違いはなさそうに思いました。
そりゃ、そうなるように設計したんでしょうね、という結果でした。
一点を炙る底面式の方が温度自体は高かったりするのか、とか気になりますよね。
要は、底面式は高火力で1点を炙る、側面式は火力を制御しながら面で暖める、という違いでしょうか。
でもこの赤外線カメラはあくまでも赤外線量から得られる目安の数字しか出さないので、そこはあまり厳密に評価はできないところです。
そして、鉄のレールの蓄熱性に驚きましたが、
こんなにレールを炙ってしまっていいのかという話。
鉄のレールは1℃温度が上がると1mあたり11.8μm膨張します。
でも低温で線路全体(たぶん江ノ電は10〜12.5m刻みで切っていると思う)が収縮しているので、ここだけ膨張しても、大した問題にならないのでしょうか。
くわえて、ふだん走行している電車の車輪は、運動エネルギーを制輪子で熱エネルギーに変換して制動をかけています。
なので電車の車輪も摩擦熱でかなり熱くなってるんですよね。とくに電制を使わない1000形の吊りかけシリーズ。

電制併用の20形は抵抗器で熱エネルギーを放出する

いっぽう空制車の1000形。
制輪子からの摩擦熱で電車を止めるので相対的に車輪が熱くなる。

対照実験的に遠くから眺めていますが、
赤外線カメラは炎の光に含まれる赤外線も取り込んでしまうのでこれは目安と思ってみてください。
だから線路ってのは、熱という視点では多かれ少なかれいろいろと過酷な環境に置かれ続けるのだなぁと、いろんな画像を見ていて思いました。
きっともっと業界内では論文とか出て研究がされているのだと思います。わかりやすい本とかあると勉強になるんですが、素人のお遊びはこの辺りまでということで。
おまけ

カンテラの点火を見たくて深夜の江ノ島駅に通っていたら、
謎の不定期回送に遭遇してびっくり。
しばらく出番のなかった22。おそらく試運転でしょうか。
安全対策工事をしている様子も見られず、車輪交換かな?と思って台車覗いてみても、別に新品らしい雰囲気でもない。
なぜか電連の蓋だけ綺麗。なんか弄ったんですかね??
今は普通に運用されているので、車内とかいろいろ見てるんですが、手掛かりなく……。
電車の写真はまた後日アップしたいと思います。
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