4月19日、とうとう江ノ電の新型車両700形が運行開始となりました。

500形以来、20年ぶりとなる新車導入となります。

当日は鎌倉駅5番線を閉鎖して出発式が行われました。

出発式は8時から行われ、
江ノ島電鉄の黒田社長からの挨拶、白百合学園の児童からの花束贈呈、そしてクス玉割りが行われました。
また、7時から江ノ電グッズショップの先行販売会や、各駅で記念乗車券と硬券入場券台紙が発売されています。

営業一番列車は鎌倉8時38分発。
鎌倉駅では乗車待ち列が形成され、7時半の時点で40人ほどが並んでいました。
8時23分時点では130人ほどの行列になっていました。

整列乗車のためのテープや、記念乗車券購入の待機列形成など、20年ぶりの新造車ということでかなり入念な対策が行われたようです。

さっそく沿線でカメラを向ける方がたくさんいます。

昨年4月に新車製造が告知され、1月に2編成が搬入され、以来3月まで試運転が重ねられてきました。
新しい江ノ電の日常が始まります。
さて、この700形という車両がどんな車なのか。
先日、江ノ島電鉄様の格別のご配慮のもと鉄道友の会車両記録研究会主催の見学会が開催され、
そこに参加して実車を観察してきましたので、
その様子を交えて、新車のディテールを紹介したいと思います。
(以下の写真は特記なきものは鉄道友の会主催行事にて撮影)

まずは外観です。

ビジュアルについては報道などでみなさまご存知と思いますので、
ここでは床下機器や内装などについて紹介していきます。
500形製造時の東洋電機技報をお手元に並べてもらって、参考に見比べていこうと思います。
土嶺好生 ほか「江ノ島電鉄(株) 500形電車用電機品」『東洋電機技報』(114),東洋電機製造. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/3049414

新造となった台車、TS-837Cです。


主電動機はTDK6252-Aで、500形と同じ。
いっぽう駆動装置がTD継手並行カルダン駆動方式ですが、
こちらは500形のKD110-B-Mに対してKD110-C-Mと型番が変わっています。
旧300形のカルダン台車向けに制作された駆動装置が中空軸並行カルダン方式のKD110-A-Mというそうで、この辺りの構造の違いがTS-837形台車シリーズの枝番に影響しているのでしょうか。
鉄道新聞の取材によると、材質が違うとか。

そしてこちらが中間台車、TS-838C。

山側から連接台車を眺めます。
検車区6番で少しカーブしているので内部構造が見やすくなっていました。

MH3094-TC1000C形というもので、
おそらく江ノ電では初となる、誘導電動機式空気圧縮機を採用しています。
JR西日本281系や、JR四国8000系などに装備されているようで、稼働実績のある機器のようです。
これまでのHB-1200と比べるとスッキリしているように見えます。

HB-1200を搭載する500形 ※2026年4月撮影。


SIV装置です。RG4092-A-Mという機器だそう。

こちらが500形のSIV。※2026年4月撮影
こちらの型番はすみません抑えてないです。
500形とは外見上の違いで言うとフタが少なくなったという感想を持ちます。
カタログスペックを見てみると、500形の新造時のSIVの容量は10kVAとされていました。700形では40kVAと一気に大容量化されています。

連結器も完全新造のCSD90です。
電気指令式ブレーキが100%採用され、制動管が不要になったことから空気穴は減らされています。

側面の行先表示はフルカラーになりました。

こちらは車内です。
見た目の上ではクロスシートの採用が一番大きな出来事でしょうか。

海沿いを走る景観だけでなく、
通路を広くとることを意識したつくりとなっています。
また、窓には500形で試験していたポジカフィルムが張られています。

下から見上げてみると他にも特徴があります。
まず、海側の網棚を撤去しています。
利用状況を調査したうえで、学生は床置きする傾向にあり、観光客はスーツケースも多いという状況で、
網棚を使う場面が限られることから、眺望のために取り払っているとのことでした。

また、つり革の高さも山側と海側で異なっていて、
海側のつり革高さは、ドア前も座席部分も高めに設定されています。

シートモケットは阪急電鉄のモケットと同じメーカーで制作されているもので、
座席にはバネを配置して、ウレタン製に比べて経年に強いクッション性を持たせているとのこと。
かなり高級なシートとなっています。
実際かなりふかふかです。
おすすめはやはり、背もたれのあるクラスシートです。ぜひ体感してみてください。

これまで乗務員室後ろに設置されていた非常用梯子は750の山側スペースに設置されました。
また車いすスロープなども、乗務員が無人駅で取り出せるよう社債式としたとのことです。

非常用ドアコックのシールは小田急で採用されている、赤系の色を排除したデザインに変更されました。

車内の車番ステッカーは700形のシルエットをかたどっています。

天井照明はLEDの埋め込み式となってスッキリして広々としています。

座席袖仕切りにも700形が描かれています。

床のシートはタンコロを想像させる木目調。
そこに湘南の砂のようなラメを配置しています。
足元が光に照らされて、キラキラして見えます。
七里ヶ浜のストレートとかでかなり映えるのではないでしょうか。

運転台も覗かせていただきました。
車番プレートがここでも700形のシルエットになっています。
乗車した際に確認してみてください。

2000形あたりから共通化されている運転台です。

ちなみに、乗務員室と客室では、床の木目の向きが違っていたりします。
運行開始前の車両を見学でき、とても勉強になりました。
鉄道友の会の皆様、江ノ島電鉄様にはこの場をお借りして御礼申し上げます。ありがとうございました。
(以上の写真は特記なきものは鉄道友の会主催行事にて撮影)
メカとしては実績のある部品構成をしているという印象を受けますが、
実際に乗車してみると、内装の居住性だけでなく、特にブレーキ関係の静音性が個人的には注目すべきと思っています。
通勤通学観光とそれぞれの多面性を考慮した居住性と、消費電力削減や低騒音化という環境負荷軽減を両立した、実用性に優れた電車がやってきたという感想です。

20年ぶりの新車ということでお祭り騒ぎとなっていますが、私たちからすれば今後長い子とお世話になる車ということで、末永くかわいがっていきたいですね。
初日以降の動きやおもちゃについては別途紹介したいと思います。
コメント