(2020年6月16日 時期についての資料を見つけたので追記)
以前から気になっていた、108と302の連結試験の話。
なんと、107が連結器を取り付けられた証拠をアップロードしてらっしゃった方がいらっしゃいました!
その昭和45年(1970)3月17日撮影の資料写真が、
こちらのブログで紹介されていました。
EKSで検索かけないとEERにしか通知が行かないとか…検索の単語選びって重要なんですねぇ
なんと両側の写真があり、107号の藤沢側にのみ、連結器が取り付けられていることが確認できます。
同志社大学鉄道同好会OB会のサイトにも、1970年3月12日撮影の107の写真がありました。
こちらの記事を確認すると、3月12日には連結器未設置であることがわかります。
なんと、試験の開始日が、1970年3月12日〜17日に絞られました。恐るべきネットの集合知…。
(20200616追記)
さらに、鉄道ピクトリアル「私鉄車両めぐり 江ノ島鎌倉観光」(1970年10月)を読むと、
3月30日撮影の107に、連結器がついていないことがわかります。
つまり
3月12日 ない
3月a日 連結器設置
3月17日 ある
3月b日 連結器撤去
3月30日 ない
と、2週間のうちにテストが完了していることがわかります。
この間に何が起こったのか、写真収集で調べていきたいと考えております。
- 連結器の構造に関する考察
連結器の形態については不鮮明なため特定が難しいですが、
ナックルの左右に爪がないため、
密着自動連結器ではなく、簡易的な自動連結器であると考えられます。
連結器と首振り機構をセットで台枠に固定しているので、簡易的な構造のものを装着したことも分かります。
開放に関わる部品の構成が鮮明でないため分かりませんが、
自動連結器について調べてみたところ、日車の水津式連結器が類似の形状なのではないかと考えています。
自動連結器について調べてみたところ、日車の水津式連結器が類似の形状なのではないかと考えています。
日車が実用新案登録していたこともあり普及に至らず、現在では加悦鉄道キハ101にのみ現存する珍しい連結器です。
連結器がここまで貴重と知らなくて写真がない…!
ナックルにも穴が開いていて、連結器を可能な限り軽量化するよう作られていることがわかります。
これはピンリンク式連結器として使うことができるように作られている穴で、
つまり従来のタンコロのようなドローバーでの牽引も実現してしまう優れものであることがわかります。
こちらがその動作を実演しているものです。
この点で言うと、もともと低床である302を相方として選定し、
休車寸前の110や強馬力の304を対象にしなかった理由も理解できます。
運用方法としては、続行車として運行していた107を302に牽引させるような方法を取ったのか、あるいは運転士が息を合わせて2両で運転したのか、運用面では調査を継続する必要があります。
また同時期の108に連結器がないことを証明できないので、これについても引き続き調査が必要です。
鎌倉海浜公園に保存されている107号車の現状について紹介したいと思います。
保存されているタンコロは、保存にあたって現役時と前後が逆転しており、鎌倉側に連結器があったことがわかります。
ブレーキ弁はありますが、タイフォンは朽ちてなくなっています。
ポールを再現していますが、根元のバネは再現されていません。加えて、ダブルルーフになっていた部分も復元されていません。
これを機に、タンコロのフェンスを大きくしてくれないかなと思います。
囲いの中に広場のような十分なスペースを確保して、車両がよく見えるように…。
八部公園のSL広場なんかはSLの周りを樹木が囲ってますし。
あと背後の仮囲いってどうなってるんでしょう
永遠に仮囲いなのかな…これ…。
コメント
コメント一覧
107号と302編成の連結運転試験の記事、興味深く拝見いたしました。
連結器の取り付けですが、座付き連結器を一番上の画像(108号)の台枠中バリ2本に渡すように厚い鉄板をボルト付けし、緩衝は相手の302編成のほうに頼ったんではないでしょうか。
そもそもこの「3輌編成」には、貫通ブレーキも無く、総括制御も出来ません。そのためそれぞれの車輌に運転士が乗り込んで、汽笛で合図をしながらの試運転のみだったのではないでしょうか。
とても一般営業が許可されるとは、内容的に思えませんね。そのためあくまで試験用だったため、簡易な改造ですぐに復元したのではないかと推察しますが…。
一番上108号の台枠(中バリ)を見ると、エア配管のすぐ前に、わずかに板が付いていたような「くぼみ」状のものが見えるようにも思えます。これが試験によるものとは思えませんが、連結器の台座板取り付けスペースに利用したのかもしれません。107号も同様の構造ならばという前提が付きますけどね。
すぎたま様
コメントありがとうございます。
電気的にも空気的にもつながらないうえ、オーバーハングの大きいタンコロにはあまり首の降らない連結器・・・
軽気動車用としてある程度の緩衝はあるのかもしれませんが、
まさに、どうやって試験したのか謎な存在です。
裏を見ると、ドローバーの接続部分は少なくとも牽引力に耐えうる強度を持っていると推測しているので、この板に連結器の枠を取り付けたのではないかと考えています。
写真を見せながら、お年寄りに色々聞いて回っているのですが、真相を知る人はなかなかいらっしゃいません。
600もまだ竣工していないはずなので、当時大型の連結器を保有していたのは、電動貨車2くらいでしょうか。