3月31日、のりおりくんのデジタル版が発売されると言う知らせが入ってきました。
これは小田急電鉄が展開するMaaS(Mobility as a Service)アプリ「Emot」の中で販売されるデジタルチケットです。
まずはこのアプリについて少し調べてみることにしましょう。
さっと調べてみたら、こんな記事が出てきました。
小田急、基盤となるAWS、そして技術紹介に、乗換検索「駅すぱあと」で知られるヴァル研究所が出ています。
Emotのプラットフォームは、Amazon Web Serviceのコンピューティングサービス「Lambda」を中心に作られたサーバレスアーキテクチャを採用しているようで、
チケット発行や決済などについては、コンテナサービス「Fargate」を主に利用しているそうです。
LambdaはPythonやshellなどといったスクリプト言語を実行する環境を提供するサービスで、パッケージのインストールなどサーバの環境整備をしなくても、コードを書いて登録して実行ボタンを押せば結果を返してくれるサービスです。APIを利用することで他のサーバと連携して通信したりさまざまな利用ができますが、コマンド一発を起動するだけなので、ログイン状態を維持するような動きには向きません。
一方Fargateは言い方が変ですが、出来合いのサーバをサッと作ってサービスを実行するものです。素人ながら、おそらくはログイン情報を持ってセッションを張る必要のあるチケット発行や決済処理などにはこちらが適していると判断したのではないかと考えています。
気合の入ったクラウドジャーニーですねぇ。
そもそも話の前にMaaSという用語の説明をしなくてはなりません。
SaaS、PaaS、IaaS…
"XaaS"という言葉は最近よく出てきますが、
「お客様が求めているのはドリルというものではなく穴を開けることである」というような例え話が持ち出されるように、客が求めることに対して結果を出すサービス形態を指します。
つまりMaaSは、「小田急線に乗る」という輸送サービスだけでなく、観光地での移動全てをサービスとして小田急が提供する、つまり目的地に届けるためのあらゆる手段を提供する、というふうに読み取りましたが、
その足掛かりとして、小田急グループではさまざまな取り組みがこのEmotを通して行われてきました。
箱根フリーパス、大山フリーパスのデジタル版の発売や、箱根そばや北欧パンでの定額利用形態のデジタルチケット販売などを開始しています。
また大山では、ツイートから行きたい観光スポットを選択して、観光ルートをプランニングするサービスの試行が始まっています。
そして、このたび2021年度に、いよいよ江ノ島電鉄でもMaaSの第一弾として、デジタル版のりおりくんのテスト販売と、江ノ島鎌倉エリアの周遊プランニングが始まることとなりました。
ちなみに江ノ島電鉄のMaaS第二弾はキャッシュレスなレンタサイクルの展開なので、江ノ電の線路で補えない部分にリソースを投入したわけです。
さて、早速のりおりくんをEmotから探します。

デジタルチケットがあります。
チケットの購入には予めクレジットカードを登録しておく必要があります。
せっかくなのでOPカードを紐づけておきました。

また地図上にはのりおりくん特典施設が表示され、近くのスポットを提案します。

ここへ行く が下に、
戻るが左上に
このUIは改善の余地があるんじゃないかなとか思いましたね。
さて、のりおりくんを購入してみます。

小町通りには抜けられないそうですね。
まずちょっと特殊な切符なので規約はさらっと流しておきましょう。

あんまりデジタル化したからと言って特段変わったことはなさそう。

払い戻しも、入鋏ではなく自分で操作してからという点が異なるだけです。

10章にはデジタルチケットの制約について、
同時に一枚のみ利用可能とありますが、
9章の「利用」とは意味が異なるようです。ここは利用しなくてもアプリの仕様でブロックされてるので「保持」「保有」が正しい表現かなと(後述)
さらに、Emotの利用規約も読んでおきましょう。
なんとなーく利用してても同意してることになりますからね。
ビッグデータの時代、顧客情報は財産です。
企業公式アカウントの規約とかもちゃんと読んでおくとよいですよ。

19条の1、なかなかすごいことが書いてあります。
ユーザからすると、ん?って思うかもしれませんが、こう書くのもまぁ仕方ないことかなと。
というのも、Emotは多くの会社の経路計算や観光情報、決済などのサービスと連携していて、そのどれか一つに異常があると動かなくなる場面があることが予想されます。
しかし、いくら不便だからといえ、いろんな小さな原因があり、それら全てをEmotのせいにされるのは筋違いだからです。
なので「できない約束はしない」、これはITサービスの基本で、これがしっかり言えるってすごいです。
できない約束をしてしまうと、出来ないことをやるために、エンジニアたちが死ぬほど働かされることになります。
なので開発する側からしたら、実験中のシステムとしてはこの条件をサービス提供者が掲げてくれるのは嬉しいよなぁとか。
もしなんらかのサービス提供の性能を保証して、実験中の機能が壊れたら、顧客とかキレて
絶対壊れないって言っただろ!
なんで壊れた!
再発防止策を考えろ!
再発防止策より早く直せよ!
いつって今すぐだよなぜ分からないんだよ!!
みたいになって萎縮しかねないですし、
実証実験というスタイルからすると理にかなっているというか、のびのびしたサービス仕様だなぁと思います。
いずれメリットやデメリットが出揃ってからこのルールまわりは整備されるのでしょう。今後の発展に期待が持てますね。

あなたのスマホがおかしい場合は一切責任取りません。
まぁその通り、その対策として駅でバッテリー貸し出しとかフリーWi-Fiとか努力して整備はしてるけど、基本は自分の端末は自分で管理してね、という意味ですね。
要約すると、アプリにはまだ届かない部分もあるけど大目に見てくださいね、それが受け入れられないなら紙の切符を買ってくださいね、ということが書いてあります。
ユーザーも正常なサービスを享受できるよう、アプリを正しく使う努力が必要なわけですね。
Webサービスだから過敏になってるけど、
ほんとは旅客営業規則もめちゃくちゃ細かいのでちゃんと読んでみると色々発見があったりしますね。まぁそれは別の機会に。

規約に同意して購入手続きへ。

前述ですが、予めクレジットカードの登録が必要です。

日付はカレンダーで直感的。

前日はこんなふうに出ます。

いっぽう、1ヶ月後を31日後と読むとこうなる。(3月31日から4月31日を指定してみるテスト)

1ヶ月後の同日という感じのようですね。
なるほどなるほど。
ユーザーテストしていこうじゃないかと。

とりあえず今日のチケットを買ってみましょう。使うかは別として…。

クレジットカードの確認画面が出たら、完了です。

のりおりくんが「使う」メニューに表示されます。
右下の「使う」を押すまでは入鋏されていない払い戻し可能なチケットになります。

押してみるとこんな感じに。
そして「使う」の方を押すとしばらく時間がかかり

これで入鋏したのと同じ状態になります。

チケットが表示されます。
偽造防止のためかイラストが動いています。
利用するときはこのスマホのチケット画面を、駅窓口か乗務員に提示します。
なので無人駅で降りる時には結構手間取ります。
箱根登山鉄道のように検札を徹底している路線だと、観光客の群れがスマホをポチポチして「あれっどれどれ…??」とかやるだけで電車が遅延しそう…という感じ。
降りる時の支度として、余裕をもって切符画面をだしておきましょう。
機能的に見ていくと、
まず、チケットを提示するまでの画面遷移が多すぎて、そのたびに読み込み時間が掛かってかなり時間を食うんですよね。
でもって、チケットを提示するためのボタンが他のボタンに対して小さいので、すぐにチケットが出せなくて、焦るほどに手間取ると。
乗り換えアプリではなく乗車券アプリとしてみると、つねに乗車券はワンタッチもしくはトップ画面に表示しておけないだろうか…という気もします。
そこは決済システムとの統合とか、別の将来像があるのでしょうか。
それとも改札が速くあるべきという価値観そのものにメスが入って見直されていくのでしょうか。
Suicaも東北の奥地でシステムのクラウドリフトを試行するとのことで、天下のJRすらミッションクリティカルな改札システムから脱皮したいという思惑が伺えます。
さて、実際に切符を使ってみるのですが…

まぁ電車に乗ると言っても深夜の江ノ電です。

留置車撮り、駅係員に画面を見せます。

終電をちょいちょい撮影。

さすがに終電でアプリ使うと目立つ……。

窓口や駅員さんに切符見せるのは日常の光景ですが、
特に22時とか深夜帯にわざわざ呼び出してスマホ見せるのに勇気いりますね・・・
一般に観光をする人は22時の江ノ電とか乗らないはずなんで、日中は普通に使えるんじゃないでしょうか。箱根に浮気しすぎてぜんぜん行けてないですねw
なお、利用開始した切符をトップ画面からみると、

アイコンは「使う」から「使用中」に変わります
この状態であらたに後日使うのりおりくんを購入しようとすると、以下のような画面になります。

「チケットの利用は同時に一枚のみ」ということですが、
チケットを利用開始した時点で2枚目の予約をしようとすると、そもそも購入すらできないという状態になります。


たとえば、4月10日利用予定ののりおりくんを保持した状態で、4月6日利用予定ののりおりくんを購入することはできません。
日付が逆だったら払い戻し手数料を払わなくてはならないので、なるべく事前購入はせず、乗車直前にチケットを購入することをお勧めします。

またのりおりくんが期限切れになると、「過去のチケット」にチケットが表示されます。

これでのりおりくんの生涯購入枚数がわかる時代も来るかもしれませんねぇ〜〜〜!
(ケンタッキーの生涯チキンマイルみたいな?)
ちなみに、払い戻しの手順はこうです。

チケットを選択して「払いもどす」を選択

手数料220円を引いた430円が戻ってきます。


払い戻しが完了すると、決済通知メールが登録メールアドレスに届きます。
そして私のユーザーテストは次の次元へ…

月末!!!!!!

やはりこの頻繁な画面遷移が仇となってなかなかチケットが表示されない…

されない…

うーん、されない…
チケットがいつまで経っても出ない…!!!
しかし、駅に着くと、フリーWi-Fiが設置されているので、ここではサクサク開くことができます。
とはいえWi-Fiは届く範囲が狭いので、ホームをウロウロして切符を出したりする必要があります。電車に乗っている間はチケットを出したままにしておかないと、降りる時乗務員に提示するのが難しいです。
速度規制のときは紙チケットの方がいいですね。あるいは通信枠(ギガ?)を買いましょう。
そして、スマホの利用について、
江ノ電がやってきていた取組についても観察していきましょう。

2020年11月、主要駅にスマホの充電器の貸出サービスを展開しています。
また先行して2014年10月から各駅にフリーWi-Fiを設置しているなど、電池切れや速度規制の対策をしっかりしています。
実はこの頃、2015年の頭に「江ノ電なび」という観光ガイドアプリがリリースされていたんですよね。

位置情報というかビーコンからの情報を拾って、その場所の観光案内を受け取れるというものでした。

当時のベンダの宣伝動画があったので連携しておきましょう。駅の案内とか観光地の案内だとかが色々と書かれていたみたいなんですが、
「その場の旬の情報を受け取る」というコンセプトゆえに、その場にいないとデータが消えてしまうという特徴がありまして。
フラッと立ち寄った時の"発見"という面白さはある反面、「今回はいかないけど次行く時参考にしよう」といった感じには使いにくい…というものだった記憶があります。(残念ながらスクショも手元にない)
江ノ電バスについても2016年からWi-Fiの展開が始まっているので、
いずれはかつて発売していた、バスも乗り降り自由になる「のりおりくんA券」のデジタル発売も夢ではない…?
さて、今回は、江ノ電が展開するICT活用サービスを、過去の事例を交えて紹介してきました。
今はまさに、アナログだった江ノ電がデジタルトランスフォーメーション(DX)の洗礼を受けるという歴史的瞬間であります。
ほんの数年前まで、江ノ電沿線新聞が江ノ電公式サイトよりも速く情報の出る最強メディアだったのですがね……。
まだまだ発達段階のサービスという印象ですが、今後も江ノ電のMaaSプロジェクトの発展に注視したいと思います。
Emotのプラットフォームは、Amazon Web Serviceのコンピューティングサービス「Lambda」を中心に作られたサーバレスアーキテクチャを採用しているようで、
チケット発行や決済などについては、コンテナサービス「Fargate」を主に利用しているそうです。
LambdaはPythonやshellなどといったスクリプト言語を実行する環境を提供するサービスで、パッケージのインストールなどサーバの環境整備をしなくても、コードを書いて登録して実行ボタンを押せば結果を返してくれるサービスです。APIを利用することで他のサーバと連携して通信したりさまざまな利用ができますが、コマンド一発を起動するだけなので、ログイン状態を維持するような動きには向きません。
一方Fargateは言い方が変ですが、出来合いのサーバをサッと作ってサービスを実行するものです。素人ながら、おそらくはログイン情報を持ってセッションを張る必要のあるチケット発行や決済処理などにはこちらが適していると判断したのではないかと考えています。
気合の入ったクラウドジャーニーですねぇ。
そもそも話の前にMaaSという用語の説明をしなくてはなりません。
SaaS、PaaS、IaaS…
"XaaS"という言葉は最近よく出てきますが、
「お客様が求めているのはドリルというものではなく穴を開けることである」というような例え話が持ち出されるように、客が求めることに対して結果を出すサービス形態を指します。
つまりMaaSは、「小田急線に乗る」という輸送サービスだけでなく、観光地での移動全てをサービスとして小田急が提供する、つまり目的地に届けるためのあらゆる手段を提供する、というふうに読み取りましたが、
その足掛かりとして、小田急グループではさまざまな取り組みがこのEmotを通して行われてきました。
箱根フリーパス、大山フリーパスのデジタル版の発売や、箱根そばや北欧パンでの定額利用形態のデジタルチケット販売などを開始しています。
また大山では、ツイートから行きたい観光スポットを選択して、観光ルートをプランニングするサービスの試行が始まっています。
そして、このたび2021年度に、いよいよ江ノ島電鉄でもMaaSの第一弾として、デジタル版のりおりくんのテスト販売と、江ノ島鎌倉エリアの周遊プランニングが始まることとなりました。
ちなみに江ノ島電鉄のMaaS第二弾はキャッシュレスなレンタサイクルの展開なので、江ノ電の線路で補えない部分にリソースを投入したわけです。
さて、早速のりおりくんをEmotから探します。

デジタルチケットがあります。
チケットの購入には予めクレジットカードを登録しておく必要があります。
せっかくなのでOPカードを紐づけておきました。

また地図上にはのりおりくん特典施設が表示され、近くのスポットを提案します。

ここへ行く が下に、
戻るが左上に
このUIは改善の余地があるんじゃないかなとか思いましたね。
さて、のりおりくんを購入してみます。

小町通りには抜けられないそうですね。
まずちょっと特殊な切符なので規約はさらっと流しておきましょう。

あんまりデジタル化したからと言って特段変わったことはなさそう。

払い戻しも、入鋏ではなく自分で操作してからという点が異なるだけです。

10章にはデジタルチケットの制約について、
同時に一枚のみ利用可能とありますが、
9章の「利用」とは意味が異なるようです。ここは利用しなくてもアプリの仕様でブロックされてるので「保持」「保有」が正しい表現かなと(後述)
さらに、Emotの利用規約も読んでおきましょう。
なんとなーく利用してても同意してることになりますからね。
ビッグデータの時代、顧客情報は財産です。
企業公式アカウントの規約とかもちゃんと読んでおくとよいですよ。

19条の1、なかなかすごいことが書いてあります。
ユーザからすると、ん?って思うかもしれませんが、こう書くのもまぁ仕方ないことかなと。
というのも、Emotは多くの会社の経路計算や観光情報、決済などのサービスと連携していて、そのどれか一つに異常があると動かなくなる場面があることが予想されます。
しかし、いくら不便だからといえ、いろんな小さな原因があり、それら全てをEmotのせいにされるのは筋違いだからです。
なので「できない約束はしない」、これはITサービスの基本で、これがしっかり言えるってすごいです。
できない約束をしてしまうと、出来ないことをやるために、エンジニアたちが死ぬほど働かされることになります。
なので開発する側からしたら、実験中のシステムとしてはこの条件をサービス提供者が掲げてくれるのは嬉しいよなぁとか。
もしなんらかのサービス提供の性能を保証して、実験中の機能が壊れたら、顧客とかキレて
絶対壊れないって言っただろ!
なんで壊れた!
再発防止策を考えろ!
再発防止策より早く直せよ!
いつって今すぐだよなぜ分からないんだよ!!
みたいになって萎縮しかねないですし、
実証実験というスタイルからすると理にかなっているというか、のびのびしたサービス仕様だなぁと思います。
いずれメリットやデメリットが出揃ってからこのルールまわりは整備されるのでしょう。今後の発展に期待が持てますね。

あなたのスマホがおかしい場合は一切責任取りません。
まぁその通り、その対策として駅でバッテリー貸し出しとかフリーWi-Fiとか努力して整備はしてるけど、基本は自分の端末は自分で管理してね、という意味ですね。
要約すると、アプリにはまだ届かない部分もあるけど大目に見てくださいね、それが受け入れられないなら紙の切符を買ってくださいね、ということが書いてあります。
ユーザーも正常なサービスを享受できるよう、アプリを正しく使う努力が必要なわけですね。
Webサービスだから過敏になってるけど、
ほんとは旅客営業規則もめちゃくちゃ細かいのでちゃんと読んでみると色々発見があったりしますね。まぁそれは別の機会に。

規約に同意して購入手続きへ。

前述ですが、予めクレジットカードの登録が必要です。

日付はカレンダーで直感的。

前日はこんなふうに出ます。

いっぽう、1ヶ月後を31日後と読むとこうなる。(3月31日から4月31日を指定してみるテスト)

1ヶ月後の同日という感じのようですね。
なるほどなるほど。
ユーザーテストしていこうじゃないかと。

とりあえず今日のチケットを買ってみましょう。使うかは別として…。

クレジットカードの確認画面が出たら、完了です。

のりおりくんが「使う」メニューに表示されます。
右下の「使う」を押すまでは入鋏されていない払い戻し可能なチケットになります。

押してみるとこんな感じに。
そして「使う」の方を押すとしばらく時間がかかり

これで入鋏したのと同じ状態になります。

チケットが表示されます。
偽造防止のためかイラストが動いています。
利用するときはこのスマホのチケット画面を、駅窓口か乗務員に提示します。
なので無人駅で降りる時には結構手間取ります。
箱根登山鉄道のように検札を徹底している路線だと、観光客の群れがスマホをポチポチして「あれっどれどれ…??」とかやるだけで電車が遅延しそう…という感じ。
降りる時の支度として、余裕をもって切符画面をだしておきましょう。
機能的に見ていくと、
まず、チケットを提示するまでの画面遷移が多すぎて、そのたびに読み込み時間が掛かってかなり時間を食うんですよね。
でもって、チケットを提示するためのボタンが他のボタンに対して小さいので、すぐにチケットが出せなくて、焦るほどに手間取ると。
乗り換えアプリではなく乗車券アプリとしてみると、つねに乗車券はワンタッチもしくはトップ画面に表示しておけないだろうか…という気もします。
そこは決済システムとの統合とか、別の将来像があるのでしょうか。
それとも改札が速くあるべきという価値観そのものにメスが入って見直されていくのでしょうか。
Suicaも東北の奥地でシステムのクラウドリフトを試行するとのことで、天下のJRすらミッションクリティカルな改札システムから脱皮したいという思惑が伺えます。
さて、実際に切符を使ってみるのですが…

まぁ電車に乗ると言っても深夜の江ノ電です。

留置車撮り、駅係員に画面を見せます。

終電をちょいちょい撮影。

さすがに終電でアプリ使うと目立つ……。

窓口や駅員さんに切符見せるのは日常の光景ですが、
特に22時とか深夜帯にわざわざ呼び出してスマホ見せるのに勇気いりますね・・・
一般に観光をする人は22時の江ノ電とか乗らないはずなんで、日中は普通に使えるんじゃないでしょうか。箱根に浮気しすぎてぜんぜん行けてないですねw
なお、利用開始した切符をトップ画面からみると、

アイコンは「使う」から「使用中」に変わります
この状態であらたに後日使うのりおりくんを購入しようとすると、以下のような画面になります。

「チケットの利用は同時に一枚のみ」ということですが、
チケットを利用開始した時点で2枚目の予約をしようとすると、そもそも購入すらできないという状態になります。


たとえば、4月10日利用予定ののりおりくんを保持した状態で、4月6日利用予定ののりおりくんを購入することはできません。
日付が逆だったら払い戻し手数料を払わなくてはならないので、なるべく事前購入はせず、乗車直前にチケットを購入することをお勧めします。

またのりおりくんが期限切れになると、「過去のチケット」にチケットが表示されます。

これでのりおりくんの生涯購入枚数がわかる時代も来るかもしれませんねぇ〜〜〜!
(ケンタッキーの生涯チキンマイルみたいな?)
ちなみに、払い戻しの手順はこうです。

チケットを選択して「払いもどす」を選択

手数料220円を引いた430円が戻ってきます。


払い戻しが完了すると、決済通知メールが登録メールアドレスに届きます。
そして私のユーザーテストは次の次元へ…

月末!!!!!!

やはりこの頻繁な画面遷移が仇となってなかなかチケットが表示されない…

されない…

うーん、されない…
チケットがいつまで経っても出ない…!!!
しかし、駅に着くと、フリーWi-Fiが設置されているので、ここではサクサク開くことができます。
とはいえWi-Fiは届く範囲が狭いので、ホームをウロウロして切符を出したりする必要があります。電車に乗っている間はチケットを出したままにしておかないと、降りる時乗務員に提示するのが難しいです。
速度規制のときは紙チケットの方がいいですね。あるいは通信枠(ギガ?)を買いましょう。
そして、スマホの利用について、
江ノ電がやってきていた取組についても観察していきましょう。

2020年11月、主要駅にスマホの充電器の貸出サービスを展開しています。
また先行して2014年10月から各駅にフリーWi-Fiを設置しているなど、電池切れや速度規制の対策をしっかりしています。
実はこの頃、2015年の頭に「江ノ電なび」という観光ガイドアプリがリリースされていたんですよね。

位置情報というかビーコンからの情報を拾って、その場所の観光案内を受け取れるというものでした。

当時のベンダの宣伝動画があったので連携しておきましょう。駅の案内とか観光地の案内だとかが色々と書かれていたみたいなんですが、
「その場の旬の情報を受け取る」というコンセプトゆえに、その場にいないとデータが消えてしまうという特徴がありまして。
フラッと立ち寄った時の"発見"という面白さはある反面、「今回はいかないけど次行く時参考にしよう」といった感じには使いにくい…というものだった記憶があります。(残念ながらスクショも手元にない)
江ノ電バスについても2016年からWi-Fiの展開が始まっているので、
いずれはかつて発売していた、バスも乗り降り自由になる「のりおりくんA券」のデジタル発売も夢ではない…?
さて、今回は、江ノ電が展開するICT活用サービスを、過去の事例を交えて紹介してきました。
今はまさに、アナログだった江ノ電がデジタルトランスフォーメーション(DX)の洗礼を受けるという歴史的瞬間であります。
ほんの数年前まで、江ノ電沿線新聞が江ノ電公式サイトよりも速く情報の出る最強メディアだったのですがね……。
まだまだ発達段階のサービスという印象ですが、今後も江ノ電のMaaSプロジェクトの発展に注視したいと思います。
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